出版社内容情報
米澤 穂信[ヨネザワ ホノブ]
著・文・その他
内容説明
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた“古典部”部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田はいま、どんな思いでどこにいるのか―会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、謎解きを通し“古典部”メンバーの新たな一面に出会う全6編。シリーズ第6弾!
著者等紹介
米澤穂信[ヨネザワホノブ]
1978年岐阜県生まれ。2001年、第5回角川学園小説大賞(ヤングミステリー&ホラー部門)奨励賞を『氷菓』で受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』(東京創元社)で第64回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』(新潮社)で第27回山本周五郎賞を受賞。『満願』、15年刊の『王とサーカス』(東京創元社)はそれぞれ3つのミステリ・ランキングで1位となり、史上初の2年連続3冠を達成(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
374
文庫で再読。それぞれの「岐路」を描く短編集は、シリーズの転換点だと思った。タイトル作はキャラクターにさえ影響しそうな作品であり、古典部メンバーが、高校生という激動の年代を生きていることを、まざまざと思い出させてくれる。読み始めから10年が経過したこちらの世界ではあるが、彼らの「未来」がどうなったかを知りたいし、彼らの「現在」、学園ミステリのエピソードを、もっと読みたいと思う。続編を首を長くして待っています!2019/09/14
katsubek
173
久々の古典部シリーズ。Wikipediaでは、「日常の謎」に分類されている本シリーズ。「ふとした謎」が「厳密なロジック」のもとに解明されるというのは言い得て妙である。短篇集であるが、最後の表題作が秀逸。ハウダニットというか、Whyはすぐわかる。折木君よりも情報を多く持っている私たちであるから、よけいにわかりやすい。が、描かれないことが大変多く、行間を読むことを強いられる。というか、「行間だらけ」である。そう、きっとそれが楽しいから、なんのかのと言いながら、このシリーズは全部読んでしまったりしているのだ。2019/07/12
さばかん
163
やっぱり私は伊原さんが好き。いい子だよなぁ伊原さん。 そして今回の短編で奉太郎に対する印象が多少なりとも改善した。 しかしまぁ相変わらず話は面白いですね。 一番はやっぱり伊原さんの話ですけど。 「いまさら翼といわれても」が詩的すぎて台詞としては違和感があるけれど、これが文学かぁ……と感心している。2019/06/26
porisan
144
今回は短編集。1話目の奉太郎と里志のお話と4話目の摩耶花が漫研を辞めるお話が特に面白かった。表題の「いまさら翼といわれても」はえるの苦悩を奉太郎がやさしく見守る姿がなんとも二人の関係を象徴しているかな~ 今回の短編、「連峰は晴れているか」は京アニの作品で映像化されているのを観ましたが、いつの日か残りの作品もぜひ映像化してほしいと思います。がんばれ、京アニ! 2019/07/31
ケイ
141
なんと言っても卒業制作について書かれた「鏡には映らない」がよかったな。制作にこめられた深い意味はどうなのかは別として、制作をさせられることがとても苦痛に思う人がいるということに共感。クリエイティブなことに対する興味はないというか、嫌悪感すらあるので高校までは何かと辛いことが多かった。ついでにいえば運動会も遠足も大嫌いだった。ホータローの「走れメロス」の感想文も良かったな。おまけの楽しさだった2023/02/02