地形の思想史

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041080221
  • NDC分類 210.04
  • Cコード C0030

出版社内容情報

なぜ、皇太子一家はある「岬」を訪ね続けたのか?
なぜ、「峠」で天皇制と革命思想は対峙したのか?
なぜ、富士の「麓」でオウムは終末を望んだのか?

なぜ、皇室の負の歴史は「島」に閉ざされたのか? 
なぜ、記紀神話は「湾」でいまも信仰を得るのか?
なぜ、陸軍と米軍は「台」を拠点にし続けたのか? 
なぜ、「半島」で戦前と戦後は地続きとなるのか?

7つの「地形」から日本を読み解く。
「空間」こそ、日本の思想を生んでいた――。

日本の一部にしか当てはまらないはずの知識を、私たちは国民全体の「常識」にしてしまっていないだろうか? 
人間の思想は、都市部の人工的な空間だけで生み出されるわけではない。地形が思想を生み出したり、地形によって思想が規定されたりすることもあるのだ。
七つのテーマと共に、独特な地形と、伝説を含めてそこに滞在ないし生活する人々の間にきわめて強い関係がみられる場所を実際に歩く。
すると、死角に沈んだ日本の「思想史」が見えてくる。
風土をめぐり、不可視にされた「歴史」を浮き彫りにする原思想史学の新境地!

内容説明

なぜ「峠」で天皇制と革命思想は対峙したのか?なぜ、皇室の負の歴史は「島」に閉ざされたのか?なぜ、記紀神話は「湾」でいまも信仰を得るのか?なぜ、「半島」で戦前と戦後は地続きとなるのか?岬、峠、島、麓、湾、台、半島。7つの地形に着目しながら現地を歩くと、死角に沈んだ日本の「思想史」が見えてくる!

目次

第1景 「岬」とファミリー
第2景 「峠」と革命
第3景 「島」と隔離
第4景 「麓」と宗教
第5景 「湾」と伝説
第6景 「台」と軍隊
第7景 「半島」と政治

著者等紹介

原武史[ハラタケシ]
1962年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。東京社会部記者として昭和天皇の最晩年を取材する。東京大学大学院博士課程中退。放送大学教授、明治学院大学名誉教授。専攻は日本政治思想史。98年『「民都」大阪対「帝都」東京』(講談社選書メチエ)でサントリー学芸賞、2001年『大正天皇』(朝日選書、のち朝日文庫)で毎日出版文化賞、08年『滝山コミューン一九七四』(講談社、のち講談社文庫)で講談社ノンフィクション賞、同年『昭和天皇』(岩波新書)で司馬遼太郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

101
地質学や地理学はフィールド調査なしでは成り立たない。文系でも民俗学などでは然りと思うが、著者は政治思想史でも、土地に根ざした”思想の歴史”があると考えているようである。尤もアカデミックを装いながら自分の趣味の世界に引き込んでいるようにも思えるところも無いではないが、それもまた楽しい。岬、峠、島…とカテゴリーに分け考察。そして実際に彼の地を訪ね、その紀行を綴る。凡人にはただ”美しい”だけの風景も、歴史や文化の背景を知ると俄然、深みが増す。後藤新平建議による広島・似島の復員兵検疫施設跡など時節柄、興味深い。2020/05/12

あすなろ

79
日本政治思想史を研究する原氏が、実際にその他を訪れ、様々な場所に立ち、地形が織り成す風景を目にする。そうすると、まるでそこにしかない風景が語りかけて来る。地形が産むものがあるのである。皇太子御一家の想い出、ハンセン病施設、富士山麓オウム施設、キャンプ座間と天皇陛下用防空壕等。地形と旅と日本史の織り成すものは、原氏の筆により味わい深い独特な紀行文となっていたのである。2020/07/13

ゆみねこ

69
岬・峠・島・麓・湾・台・半島、独自な地形と伝説を著者自ら訪ねて歩く。実際に旅した場所などはそれなりに興味深く読めました。日本国内、まだまだ未知の場所ばかり。早く旅に出られる日常が戻りますように。原武史さん、初読み。2020/08/07

HANA

62
政治学者の旅行エッセイ。各章ごとにテーマが定められており、それも「浜名湖と皇室」「奥多摩と新左翼と山村工作隊」「瀬戸内海とハンセン病」「富士山と宗教」など、どれをとっても興味深いものばかり。ただ面白いけど地形自体を扱ったものではなく、特定の地における特異な歴史を掘り出すといった趣が強いかな。掘り出されるものはどれもこれも面白い物ばかりであるが。ことに興味深いのはオウム跡地を巡る旅と山村工作隊、鹿児島における地方選出の国会議員の軌跡かな。夏草や、ではないけれども、過ぎ去りし過去を思わせるものばかりであった。2021/12/03

ころこ

46
地形があって、意味があるのか。意味が先にあって、そこに風景を見出すのか。単なる紀行文でもなく、理論展開の書でもない。唯物的な地形という言葉を使い、人文学は机に座ってばかりいないだろうかという問題意識がある中で、両者の中間といったところです。大上段は避けていますが、近代の歪みともいえる視点だけは一貫しています。第3景では、瀬戸内海の長島愛生園を訪ねます。すぐ思い浮かぶのは、『滝山コミューン』にもあったように、著者の生育環境にハンセン病隔離施設があったことです。そこよりも外界から途絶され、皇国イデオロギーに影2020/01/16

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