出版社内容情報
昼は平凡なサラリーマン、しかし夜には組織へ反逆の牙を剥く一匹の狼。朝倉哲也は、鍛え上げられた肉体と天才的頭脳を武器に、大企業や暴力団に次々と挑んでいく。ついに掴んだ栄光の果てに彼が見たものは。
内容説明
昼は平凡なサラリーマン、しかし、夜は組織への反逆を企てる一匹狼―。29歳の朝倉哲也は、強靭な肉体と天才的な頭脳を武器に、銀行の金を強奪し、上司の愛人を情報源として飼い慣らし、暴力団の組長にすら一人で立ち向かう。すべては腐った巨大企業を「食いものにする立場」を得るために。厄介な敵が次々と行く手を阻む中、朝倉は野望を達成することができるのか。組織の底辺に位置する男の凄絶なる復讐劇!
著者等紹介
大藪春彦[オオヤブハルヒコ]
1935年ソウル生まれ。早稲田大学在学中に『野獣死すべし』を発表し、鮮烈なデビューを飾る。その後、日本におけるハードボイルド小説の先駆者として一時代を築いた。96年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しょう
61
前作と同様に朝倉は単純作業をこなすかの如く暴れまわり、野望達成を目指して歩き続ける。朝倉が強すぎるのもあると思うが、敵対者が総じて物足りない。よって朝倉自身に危機と言えるような緊迫感ある展開は訪れず、まさしくやりたい放題といった感じである。よく言えばわかりやすく、悪く言えば一本調子で単調ではあるが、テンポは非常によく、なかなかできたエンタメ作品ではある。2022/11/06
森オサム
52
「完結篇」でも相変わらずの暴れ振り。死体が何体増えるのか、数え切れないです。野望は徐々に達成に向かうが、少々長いかな。物語の性質上途中で躓く事は考え辛く、最後はどうなるのか?、に興味は絞られる。それでは、この終盤の展開からのラストシーンをどう見るか。成功しても破滅しても、読者それぞれに思う所有るでしょうが、個人的には逆だったかなー(笑)。貧富の差を乗り越える為の持たざる者の戦い、手段はともかく熱い時代の熱い男の物語だった。2019/04/21
コチ吉
9
朝倉に対し、挑む相手側が物足りないのは否めない。重役陣が揃って麻薬をやったり殺し屋を雇ったり、めちゃくちゃだが、引き立て役と見ればそんなものか。鈴本が登場してきたあたりから、物語は加速し朝倉の画策が全てハマっていく。そこには一片の感傷もない。2022/01/08
グラスホッパー
7
どうやって終わるのか、はらはらしながら読んだ。見事なラストだった。2023/12/24
あかつや
7
引き続き悪事を重ねていく朝倉。どうもここは朝倉以外は全員骨粗鬆症を患っている世界であるような気がしてきた。なんぼなんでもポキポキいきすぎだ。あとこれって朝倉が犯罪でのし上がるのがキモなんだと思っていたけど、違うな。たぶんこれは男の子の欲望を突き詰めていく小説なんだ。誰にも負けない腕っぷしを持った男が、色んな鉄砲バンバンやって、色んな車をブイブイ運転して、あっちこっちに隠れ家を持つ。車とかあんまり興味ない私も、隠れ家の地下を改造して秘密の隠し場所を拵える場面にはワクワクしたよ。秘密基地はロマンだもんな。2021/12/20