出版社内容情報
時は5世紀。倭の國の第20代大王、アナホが何者かに殺された。弟のワカタケルは、王位に最も近い2人の兄を殺害し、並み居る豪族をねじ伏せ自身が王位についた。それは、彼の血に塗れた治世の始まりだった――。
豊かな自然と神々とともに生き、未来を見る力を持つ女たちと國を束ねたワカタケル大王。暴君でありながら人々を惹きつけ、偉大な国家建設者であったひとりの天皇の驚きと波瀾に満ちた生涯を、力強く、抜群の面白さで描き切る、壮大な歴史長編。
内容説明
時は5世紀。倭の國の第20代大王、アナホが何者かに殺された。弟のワカタケルは、王位に最も近い2人の兄を殺害し、並み居る豪族をねじ伏せ自身が王位についた。それは、彼の血に塗れた治世の始まりだった―。豊かな自然と神々とともに生き、未来を見る女たちと國を束ねたワカタケル大王。暴君でありながら人々を惹きつけ、偉大な国家建設者であったひとりの天皇の、驚きと波瀾に満ちた生涯を力強く描き切った、壮大な歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカボー
5
21代雄略天皇を小説で。長老みたいな人に会話の中で補足説明させるのは歴史小説でよくあるパターンだけど、かなりわざとらしかった。でも知識の空白部分をお手軽に埋めるという意味で読んで良かった。特に清寧天皇、顕宗天皇、仁賢天皇あたりは全く知らなかったので。2025/03/20
coldsurgeon
4
古事記の記録をもとに、ワカタケル、のちに第21代雄略天皇の一代を描く。国土を統一し、大和を治めた大王だが、その陰には、未来を少しだけ見通すことができる女性達がいたと、話を加える。古事記そのものをまともに読んだことはないが、いくつもの詩が掲載され、その雰囲気だけは味わうことができる。国を統治し、平穏な生活を民に与えるために、どのような大王が望ましかったのだろうか。2023/11/21
takao
2
ふむ2025/01/07
迦陵頻之急
2
学術的に実在が確認できる最古の大王、雄略天皇ことオオハツセノワカタケル。この時代を描いた小説と言えば、知る人ぞ知る野溝七生子の「眉輪」があった。そちらは神韻縹緲たる文体が印象的な一方で、リアリズムを基調としたストーリーだったが、本作は直裁な文体の一方で、記紀に記された説話的エピソードをそのまま取り入れる。ワカタケルは気性の激しい暴君ながら、暴虐なエピソードが政治的新進性と表裏一体になっていて、武烈天皇のそれのような虚構性、作為性はない。国家の礎を築いた非情にして非常な君主はかくもありなん、と思わせる。2024/04/14
SOLVEIG
2
記紀等の神話でよく知られているエピソードに、そこでは詳しく語られていない部分を創造(妄想?)して物語を紡いでいったら……。著者訳のものを含め「古事記」は何種類か読んでいてそこそこ知ってるんだけれど何故か「日本書紀」の方が未読で記紀を比べられないところが自分としては悔しいのだけれど、まあそんな事は関係なく楽しめた。《ワカタケル・21代雄略天皇》の生涯を史実(この場合は神話だな)ベースに創作した物語。霊力によって夢を見、鳥を使い大王の統治を助ける大后ーー女性の力はかなり大きかったのね。2024/03/28