出版社内容情報
西村 賢太[ニシムラ ケンタ]
著・文・その他
内容説明
不遇に果てた大正期の私小説家・藤澤清造。その負の存在に心の支えを見出し“歿後弟子”を目指す男の捨て身の日々。“師”に明け暮れ墓守りを行い、資料探しに奔走して全集作りに注力する情熱は、自らの人生を完全に賭した、不屈で強靱な意志と同義のものであった。同人誌発表の処女作「墓前生活」、商業誌第一作の「一夜」を併録。現在に至るも極端な好悪、明確な賞賛と顰蹙を呼び続ける問題の第一創作集、3度目の復刊。
著者等紹介
西村賢太[ニシムラケンタ]
1967年7月、東京都江戸川区生まれ。中卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こうすけ
22
西村賢太の、デビュー作を含む中短編集。秋恵がひたすらかわいそうになる。しかし秋恵に出会ってなかったら、西村賢太は藤澤清造の在野研究者でしかなかっただろう。初期作だからか、以降の作に比べて文章がややもたっとしている。2022/07/11
駄目男
15
現在ではすっかり忘れられた、藤澤清造(明治22年10月28日 - 昭和7年1月29日)というほとんど無名の作家が大正時代に一時活躍したが、その人物を今日に蘇らせたのが西村賢太といってもいい。なんでも没後弟子といって、かなりストーカ的とも思われるほどに資料調べを行い、藤澤清造全集まで上梓したというから偉いものだ。狭い自室を藤澤の額で埋め尽くし資料館などといって同棲相手に自慢しているが、藤澤は芝公園内の六角堂内で凍死体となって発見された不遇の作家だった。西村賢太も、令和4年2月4日夜、東京都北区赤羽から乗車し2025/01/19
きょん
12
藤澤清造の没後弟子を自認する主人公が墓参りや周回忌を企画し、その足跡を後世に残すべく奮闘する、、、と言えば聞こえはいいが、そこはそれ、北町貫太(まだこの名前は名乗っていないが)。親切な副住職や万にひとつの確率?で同棲にこぎつけた女にも卑屈かつ居丈高に振る舞い、女には暴力も。もうこの人の嫌ったらしさときたら!本当にこの描写、うまいわ。というべきか?胸くそ悪いんだけど読んでしまう。自業自得というべきか。2023/05/01
tomoka
12
西村作品を読むのは4冊目くらいなので、クズ男ぶりには免疫ができたようだが、自分のことを「ぼく」、そばを「お蕎麦」と言うあたりはギャップと違和感を感じる。でもそこがおもしろくもあるから不思議。2022/08/01
村山トカレフ
11
再三再読。眼光紙背に徹す。「淸造偏愛」と「秋恵、愛憎物語」が顕著な本作はやはり傑作と言わざるを得ない。「どうで~」は文庫で講談、新潮、角川から発行されているが、今回読んだのは角川文庫版。装丁は講談がいちばん好きだが、新潮も角川も昭和レトロ臭がプンプン漂いかつ、抗えないさだめ的な悲哀が揺曳していてイイ感じ。ただ、文字フォントは新潮がいちばん大きく感じ、老眼のおっさんにはいちばんお優しい気がする 笑 表題作は言わずもがなだが、秋ちゃん遁走を描いた「破鏡前夜」の前日譚ともいえる「一夜」の破滅プロットに粟立つ。2022/05/16
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