内容説明
長江の南、黄山のふもとに広がる緑ゆたかな山間盆地が、徽州商人の故郷である。彼らは十五世紀から十九世紀まで、長江や大運河などを通じて、塩・米・茶・絹・綿布などの生活必需品の流通をリードした。その活動範囲は、江南デルタと長江流域を中心に、北は遼東の軍事市場、南は広東の外国貿易、さらには東シナ海の密貿易や長崎貿易にもおよんだ。徽州商人の台頭・繁栄・衰退のプロセスは、明清時代の五〇〇年間にわたる社会経済の展開を映し出す鏡でもある。
目次
中国史と商業
1 中国の商業と商人集団
2 明代の徽州商人
3 清代の徽州商人
4 徽州商人の衰退
著者等紹介
中島楽章[ナカジマガクショウ]
1964年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程中退。専攻、中国社会史・東アジア海域史。現在、九州大学大学院人文科学研究院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sovereigncountr
2
近世から近代にかけて東方ユーラシア世界の交易の一翼をになった徽州商人を取り上げた概説。中国社会経済史の入門としても好い。2023/10/22
絜
1
徽州商人だけでなく、明清中国で活躍していた複数の商人団(山西商人、寧波商人、広東商人等)についても紹介。徽州商人は陸路(山西)や海上(寧波/福建/広東)ではなく、主に水路の長江貿易に従事。上・中流地域の米穀や原料を下流に、下流地域の塩や手工製品を上・中流に運ぶ。 スキナーの「大地域システム」の援用と最後に現代中国の大物政治フィギュアの何人もが徽州商人の後裔というのは印象的だった。2023/09/28
こずえ
0
明清を経済面から探る良書。2017/12/18
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