出版社内容情報
女性の人生には通過儀礼が沢山ある。たとえば結婚。もう21世紀だというのに、当然のように夫の名字を与えられ、旧姓は消えてしまう。気づいた時は自分が自分でなくなり、夫の家の「モノ」とされてしまうのではないかという不安は、胸の奥にとじこめればとじこめるほど、強いエネルギーに育って、くらやみの扉をこじあけてしまう。他にも、独り暮らし、恋、子育て、親の痴ほう……。自分で選んだ人生のはずなのに、古い社会通念の箱に押し込められ、じわじわと別のものに変容させられていくのはなぜなのだろう? そんな誰にも言えない恐怖を、静かに見つめ、解放してくれる物語。新しい時代を自由に自分らしく生きたいと願う女性たちへの応援歌。30代、40代の女性たちの代弁者・朱野帰子の最新作!
内容説明
「これは私のための物語だ」と、がつん!とくる女性続出!思春期、就職、結婚、出産…。何度も変容を求められてきた女性たちが封じこめてきたくらやみを解放してくれる物語。
著者等紹介
朱野帰子[アケノカエルコ]
東京都生まれ。2009年、『マタタビ潔子の猫魂』で第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞。13年、『駅物語』がヒット。15年、『海に降る』が連続ドラマ化。今の時代の女性たちの心の代弁者ともいえる作品を発表し、注目を集める気鋭の作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
341
朱野 帰子、三作目です。真っ暗な部屋でのギャル達の暴露話かと思いきや、現代女性の闇、少しホラーな連作短編集でした。オススメは、『鏡の男』&著者版鉄輪の『藁人形』&『帰り道』の3本です。2019/05/26
ごみごみ
167
ポップなタイトルに可愛い装丁。でも中身はゾワッとする短編集。「花嫁衣装」に共感し「子育て幽霊」にホロリとさせられ「帰り道」ではなぜか、千と千尋の神隠しを思い出した。その他にもイラッとしたりちょっと引いたり… どれも不気味な話だけど、テイストがちょっとずつ違う。女子って何度も生まれ変わって強くなるのかな。2019/05/04
モルク
162
8話からなる短編集。表紙のポップなイメージとは違い、ホラーそしてイヤミスだった。どれもざわつき、心の奥に押し込めていた思いがおしだされていくようである。なかなかリアルな感情に、もっとさらりと読むつもりだったものが、ぐさりと刺さった。「子育て幽霊」「藁人形」が好き。2019/09/03
R
142
「くらやみ」とはよく言ったもので、ある種ホラーでもある嫌な物語だった。女性という概念にまつわる、様々な情念、怨嗟、怨念みたいなものが現代の怪談のように、でもどうしようもなく判然とした現実として描かれている。美醜によって、日の当たらない場所にいるべきだと自認する少女が、そのタブーを打ち破って日の当たる場所へ踏み出す話が、ある意味希望にも見える明るさがあるんだが、線香花火の終わり間際みたいな光だったような救いがない末期を見せないだけにも読めて、欝々としてしまう短編集だった。2023/03/29
うどん
135
ホラーのようなそうではないような…。ゾワゾワする短編集でした。面白かったです。2019/04/18