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  • サイズ A5判/ページ数 320p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041072271
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

これは〈語られたくない事実〉への小説の挑戦――21世紀文学の新たな刻印「あなた、ひとですか?」
「ひとのこころ、ありますか?」

ベッド上にひとつの”かたまり”として横たわり続けるきーちゃんと、その思念の涯てなき広がりから、ニッポンに巣くう底知れぬ差別、良識をきどった悪意や”浄化”と排除の衝動を射貫く。
「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。実際の障がい者19人殺害事件に想を得た、〈存在と無〉の究極を照らしぬく衝撃の傑作!

1 プロローグ 夢/マスカットグリーンの膜/わたしはなぜここに在るのか/絶滅危惧種でもないのに 2 わたしの〈無慾顔貌〉について/わたしはなにか。なにから生まれたか。なんのために。なにをしに生まれてきたか。なぜここにこうして在るのか 3 〈設問〉 ほんとうは正気のにんげんが狂ったふりをするのと、じっさいには狂ったひとが正気のふりをするのと、どちらがむずかしいか? 4 わたしの痛み/脳内のオーロラとスノーノイズ/痛みを消してくれるなら全人類を敵にまわしてもいいとおもうこと 5 赤い服のおんなと小さなひと/〈まさりおとり〉とはなんだろうか/さとくんのただならぬ視線について 6 さとくんの気分/サルスベリのこと/死刑のこと/カフェ「ティシナ」にて/赤いおんなとの奇妙なやりとり 7 赤いおんなの怒り/目のなかの目/その目の奥の夜と靄/どうしようもないビニール紐やイエユウレイグモについて 8 イメージ/ゲンジツ/顔/ことば/殺人/聖性/戯画……について 9 園はひきつづき未然/木造幽霊船にて/在るじゃなくて在られるじゃないのかな/ヘレナモルフォになりたいな 10 さとくんの学習とちょっとした変化/こころざしについて/「ひととして生きている意味」をかんがえること 11 ある暗所にて/円筒形の巨大水槽をかこむ/みんなで〈カタアシヒゲシビレビト〉などをみること/すべて〈のようなもの〉ではないか 12 さとくんの発心〈世の中をよくするために貢献したい〉〈そのためにどうすればいいか……〉 13 あたしの割れと派生/さらされること/弄ふことなど 14 あかぎあかえの登場/モグラ塚/被曝/あらゆる特徴が特徴たりえなくなった時代の道をあるくこと 15 大津波/遁走/カラスの大量死/身ぶり顔つきは、すでにそうされたことの無意識の再演であること/あかぎあかえが赤いおんなと番うまでの話 16 陰ひなたのないさとくんの〈自己犠牲心〉について/紙芝居でがんばる/「食わず女房」に入れこむこと 17 あかぎあかえのとりとめのない回想/さまざまな焼身自殺のこと/ベトナム・大津波・皇居前/みなれたものが「真実」なのであり、みなれぬものは「奇」なのだ 18 無ー所(nowhere)をゆくきーちゃんの意外にすっきりした心象/ムカシトンボ・ミズカマキリ・アサギマダラなどをみること 19 続・きーちゃんのとめどない心象/正気もヘチマもありゃしない/脱走者/森/深海 …・・・・(つづく)

辺見 庸[ヘンミ ヨウ]
著・文・その他

内容説明

ニッポンに巣くう底知れぬ差別。良識をきどった悪意。“浄化”と排除の欲動―「にんげん」現象の今日的破綻と狂気を正視し、この世に蠢く殺意と愛の相克を活写。かつてだれも試みたことのない、“語られたくない事実”への小説の挑戦!“存在と無”の究極を照らしぬく560枚!

著者等紹介

辺見庸[ヘンミヨウ]
1944年宮城県石巻市生まれ。70年共同通信社入社、北京特派員、ハノイ支局長、外信部次長などを経て96年退社。78年中国報道で日本新聞協会賞、87年中国から国外退去処分を受ける。91年『自動起床装置』で芥川賞、94年『もの食う人びと』で講談社ノンフィクション賞、2011年詩文集『生首』で中原中也賞、翌12年詩集『眼の海』で高見順賞、16年『増補版1★9★3★7』で城山三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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