出版社内容情報
地下室の扉を開ければ、事態はすべて収束するはずだった……都内で起こった幽霊騒動。解決を要請された拝み屋を営む著者は、現地の地下室に騒動の原因があると判断。閉ざされていた扉を開けようとしたが、そこには残酷でおぞましい現実が広がっていて――。
郷内 心瞳[ゴウナイ シンドウ]
著・文・その他
内容説明
都内で起こった幽霊騒動。女性霊能師に解決を要請された現役拝み屋の著者は、自身の過去を見つめざるを得ない状況にすげなく断ってしまう。しかし、現地で現れ続けているという紫色のワンピースを着た女が、宮城にある自宅にまで出現するに至って重い腰を上げ、解決に動く。原因があるとされる地下室の扉を開けようとしたが、そこには残酷でおぞましい現実が広がっていて―。取材をもとにした怪異譚も収録。震撼の実話怪談!
著者等紹介
郷内心瞳[ゴウナイシンドウ]
1979年、宮城県生まれ。郷里で拝み屋を営む。2013年、「調伏」「お不動さん」の2作で第5回『幽』怪談実話コンテスト大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
161
自身の願望が創った存在「タルパ」。タルパに翻弄され、振り回される話しがメイン。タルパは実際にあるのか。実話怪談の拝み屋シリーズだが、タルパは実話か私には分からない。タルパを抜きにすれば、よくある話し。安易に心霊スポットに行かない。新興宗教を信じて累代の仏壇を捨てたりしない。罰当りな行動をしない。そう、普通の怪談話しなのだ。そこに不思議なタルパが出てくる。敢えて書こう。拝み屋シリーズは「花嫁の家」あたりを頂点に失速か。カウントダウンの最期の年は何だったのか。タルパ桐島について書いた前作よりは良かったと思う。2018/08/25
ハイランド
100
作者がどんどん性格が悪く、荒んできている。酒浸りで、口汚く相手をののしる。類は友を呼び、集まる客(?)もだいたいろくでもない。こういう拝み屋さんには、何かあっても頼みたくないなあ。良い人ばかりがバカを見る。霊感のない人間にとってこの手の話は真偽の判断基準がないので、信じる信じないはその人次第である。面白ければ良いじゃないとは思っても、妖怪大戦争になってしまっては、やっぱり眉唾だなあ。因果応報という話が何作か載っているが、好き好んで心霊スポットに行く気持ちもわからんが、それで祟られるというのも理不尽と思う。2018/11/11
HANA
68
実話怪談とゴーストハント物が、半々くらいの割合で収録されている。今回実話怪談は極めて良質。心霊スポットに行ってえらい目に会うというちょっと懐かしいパターンが多いけど、その酷い目に会う所がバラエティに富んでいて楽しめる。冒頭の~なければは特に白眉。逆にゴーストハント物は今回ちょっと微妙だったかな。説教臭さと斜に構えた感じが何となく「小説家になろう」を思い起こさせる程。起きる怪異が微妙なのもそれに輪をかけているような。怪談には珍しく次巻への引きがあるのもなんだかなあ。実話怪談に絞れば面白く読める一冊でした。2020/03/08
アッシュ姉
65
著者初読み。郷内さんの元に寄せられる「もっと怖い話を聞かせてほしい」の声に応えるべく、悪い何かにとり憑かれ、悪い何かに魅入られた人々の実体験を選り抜き、怪談集に仕立てた一冊。本編を読むのを躊躇するほど導入から怖い。これまで読んだ本は本当だったら怖いかもくらいだったが、こちらは本物の怖い話が多かった。タルパなど信じる信じないはさておき、郷内さんの語り口が恐ろしかった。遊び半分で心霊スポットに行ったり、興味本位で怖いものを求めると恐ろしい目に遭う。怪談実話系はこれにて終わりにし、以降はホラー小説に限定したい。2019/09/03
眠る山猫屋
58
イマジナリーフレンドと同じなのかな、タルパって。相変わらず屈折した作者のヤサグレっぷりに苦笑しつつ、訪れる怪異は恐ろしい。拝み屋さんの家の中まで浸食してくる怪異は、朝松健さんの逆宇宙シリーズ並みの恐怖。本当に奥さんとか大丈夫なの?心配・・・。今回はタルパという、ある意味、作者の根源に関わる存在を巡る怪異を中心に話が進むが、元凶は生きた人間。母さまの家に登場した狂った超能力者も再登場したらイヤだな。カウントダウンの謎も終わりとは思えない。続きが楽しみだが、恐ろしくもある・・・。2018/08/10