出版社内容情報
島本理生、17歳のデビュー作。新装版で登場。女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠(かん)くん。冠くんと別れ、半ばやけでつき合った遊び人の藤野。今の恋人、大学生のせっちゃん…人を強く求めることのよろこびと苦しさを、女子高生の内面から鮮やかに描く群像新人賞優秀作の表題作と15歳のデビュー作他1篇を収録する、せつなくていとおしい、等身大の恋愛小説。
島本 理生[シマモト リオ]
著・文・その他
内容説明
何ヵ月も何ヵ月も雨が降り続き、もしかしたらこのまま雨の中に閉じ込められるかもしれない。そう予感するような季節の中にいた―。女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。冠くんと別れた後、半ばやけでつき合った遊び人の藤野。今の恋人、大学生のせっちゃん…人を求めることのよろこびと苦しさを、女子高生の内面から鮮やかに描く群像新人文学賞優秀作の表題作と、15歳のデビュー作他1篇を収録。島本恋愛文学の原点。
著者等紹介
島本理生[シマモトリオ]
1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を同賞史上最年少で受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミカママ
494
著者、15、16、17歳のときに書かれた短編らしい。表題作執筆当時は17歳だったとか。父は不在、放任とも思える母親と暮らす高校二年生の「わたし」には、大学生の彼と、今でも心の片隅を占める同級生の元カレがいる…。傷つけたり傷つけられたり。男と女には大人も子どももないね。2022/04/24
おしゃべりメガネ
150
島本さんのデビュー作ほか2編を含む短編集で、いずれも十代で書かれた作品とのこと。やはりタイトル作『シルエット』が圧巻。これを17歳のトキに書き上げていたとは、恐るべし。島本さん作品、世界観の原点がここにあり、ここからあの島本ワールドがスタートしていくコトになるわけですね。後の直木賞受賞につながる才能は確かにこのトキ既に確立しているのかもしれません。年齢性別問わず、ひきこまれてしまう彼女の作品に改めて凄みを感じました。ヒリヒリした文章が紡ぎだす、危うい独特な世界観は彼女ならではのワザありなんだと思います。2020/09/26
小夜風
36
【所蔵】作者15歳16歳17歳の時の作品とのこと…絶句しました。凄過ぎる。もちろんそんなことは全く頭になく読んだのですが、違和感も全然ありませんでした。前に他の人の作品の感想に「中二病を拗らせちゃった高校生が頑張って書いたみたいな微笑ましい作品」と書いたのですが、成熟している人の作品は最初からきちんと成熟しているし、前者は本人が大人になってもずっと稚拙な作品を書くのでしょう。高校生らしからぬ恋愛でありながら、相手を傷つけてしまう幼さも描かれており、気づけた時の手遅れ感も切なくてじんわり胸に染み入りました。2019/03/09
けんさん
34
『10代作品とは思えないこの情景描写、必読です!』 「ヨル」15歳、「植物たちの呼吸」16歳、「シルエット」17歳執筆の短篇集。10代の思い通りにいかない恋愛のもどかしさが瑞々しく繊細に描かれる。15歳で【水みたいな女】なんて表現、すでに才能が滲み出てる…すごい!2022/01/05
ネコタ
34
「ヨル」15歳、「植物たちの呼吸」16歳、「シルエット」17歳のときの作品。島本さんの原点のような作品集。彼氏と別れた主人公。今の恋人と一緒にいてもどこか気持ちの中でモヤモヤしている。なんだかうまくいかない。元彼に会うもそっけなくさる。最後の場面での気持ち、「こんなのってない」はホントに主人公の気持ちを表しているなと思った。2018/06/29