出版社内容情報
和歌山の森には、報われぬ女たちの過酷ながらもたくましい命の物語がある私の一族は「うつるイボ」ができる。私にその「イボ」ができたときは絶望的な気持ちに襲われ、大好きだった絵も描くことができず、じっと動かないでいた。そんな私に母は「イボ神様にお願いしてみる?」と持ちかけてきた。「けれど、信じなあかんよ」と。イボが無事消えたあと、そのイボはどこへ行ったのでしょう?私はお礼参りとともに、その謎を解くためにイボ神様に会いにいくことにしました。そこで見たイボ神様とは…!(「イボの神様」)
卒業以来初めての同窓会が開かれ、40代になった私たちは昔話に花を咲かせていた。かつての同級生で、日本人形のような神秘的な雰囲気の漂うちょっと暗い女の子の話題になった。けれどだれももう、連絡先が分からない。ところが、その晩、実家の母親から、その彼女からの手紙が出てきたという。住所は和歌山県の山奥にある村。どういうわけだか私は見も知らないその場所に強く惹かれ、たいして知りもしない彼女に導かれるごとく、会いにいくことになった。彼女の家は、仏壇やを経営しながら民間療法の診療所を経営していた。扉を開けて中に入ると何やら儀式的なことをしている真っ最中で・・・・。(「ことほぎの家」)
ほか、和歌山の人柱や神隠しを題材に、娘を神に取られた母の壮絶な心情を描いた「赤べべ」、和歌山の山奥の貧しい炭焼きを生業とする夫を殺したという無実の罪を着せられた妻が村八分に遭い、6人の子供たちを次々に貧困で失っていく母親の狂気をある種のユーモアで描き切った快作「晴れ女の耳」。
ほか、「怪談実話系 妖」に掲載した「サトシおらんか」、ほか書き下ろしを加えた全8編。
イボの神様
ことほぎの家
赤べべ
先生の瞳
サトシおらんか
あやっぺのために
書き下ろし収録
東 直子[ヒガシ ナオコ]
著・文・その他
内容説明
私が外に出るときはどんなに悪天候だったとしても必ず晴れる。ある日、耳の奥から声が聞こえてきた。声の主はなんと豆粒ほどの小さなおばあさん!そのおばあさんが語る貧しい炭焼き職人の夫殺しの罪を着せられた女と、幼い子どもたちとの悲痛な物語。哀しみと絶望の底にさす一筋の光を描いた傑作「晴れ女の耳」。人柱や神かくしなど和歌山の民話や実話を題材に紡がれた。文庫版書き下ろしを含む8編の魂の救済の物語。
著者等紹介
東直子[ヒガシナオコ]
1963年生まれ。歌人、作家、イラストレーター。96年「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞受賞。2006年には『長崎くんの指』(のちに文庫化し、『水銀灯が消えるまで』に改題)で小説家としてデビュー。16年『いとの森の家』で第31回坪田譲治文学賞受賞。歌壇賞、及び角川短歌賞選考委員。16年より東京新聞選歌欄選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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