出版社内容情報
14年前、わたしは親友と歌を失った名古屋での結婚生活に終止符を打ち、東京・谷中に戻ってきた沢口遥は、【ルーカス・ギタークラフト】という店に興味を持つ。店主の乾滉一はギターの修理だけでなく、日用品の修理もするらしい。滉一との交流の中で、遥は高校時代の夏を思い出していた。
一方、高校生でドラマーの久美子は、クラスメイトの翔子、実悠、瑠香とともにバンドをを始動させる。そこに転校生のヨウが入ってくるのだが、彼女の非凡な才能に久美子は衝撃を受ける。ある日、彼女たちのバンド「RUCAS」にプロデビューの話が持ち上がるが――。
誉田 哲也[ホンダ テツヤ]
著・文・その他
内容説明
思春期に抱えた、心の傷と謎。夢のように輝いていたあの夏、本当は何が起きたのか―。名古屋での結婚生活に終止符を打ち、谷中に戻ってきた沢口遙。ガールズバンド「RUCAS」を始動させた高校生の久美子。二人の女性の語る旋律が、やがて一つの切ないハーモニーを奏で始める。キラキラした夏の日、いったい何があったのか―。
著者等紹介
誉田哲也[ホンダテツヤ]
1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年、『妖の華』で第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞。03年『アクセス』で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
322
誉田哲也は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。青春×ガールズバンド×ロック、武士道シリーズ系で爽やかな仕上りの作品でした。但し、14年前のエピソードも現在のエピソードも不完全燃焼な感じがします。5月は、本作で読了です。2018/05/31
いつでも母さん
229
久しぶりの白・誉田!武士道シリーズが脳内で駆け巡りましたが、こちらはガールズバンド。(疾風ガールとはまた違う)現在の遥(呼び名はヨウ)とバンドを組んでいた高校時代の久美子の気持ちが交錯して物語は進む。瑠香とその兄・滉一も重要人物。あの夏に起きたことは夢なんかじゃない。絡まった糸が解れた時、素直に再会出来るって好いな。なんだか私まで私のあの頃を思い出させる物語だった。一番キラキラしていた頃、一番トゲトゲだった頃。今なら今だから思い出せるのかなぁ。ヨウの歌を聴いてみたい。それにしても誉田さん、振幅が大きい。 2018/05/14
のり
220
現在の彼女と、12年前高校生時代のガールズバンド5人の青春物語。中々、個性派揃いだが、仲が良いが悩みを抱える者も…皆必死にウデを上げようとするが、微妙な方向性の違いがでてくる。こんなに熱い思い出を共有していたら、会わない時が長くても、わだかまりもすぐ氷解するだろう。とにかく瑠香は良い子だ。正に皆の潤滑油だ。最初に主役だと思っていたら準主役?だった。 2018/07/17
ウッディ
202
離婚し東京に戻った私は、近所に「ルーカス・ギター・クラフト」という名のギター修理店があるのを見つける。「RUCAS」それは、高校時代の自分たちが青春をかけて打ちこんだガールズバンドの名前だった。過去そして現在の私と滉一の視点から物語が語られ、現在の私が誰なのか意図的に隠されたまま話が進み、徐々に明らかになるという構成が面白く、惹き込まれました。タイトルのルカ(瑠香)がバンドRUCASの中ではそれほど重要な存在ではなかったので、少し違和感がありましたが、熱い青春とほろ苦い思い出とラストに胸が熱くなりました。2018/09/25
takaC
191
タイトルの「二人のルカ」は瑠香とヨウのことだったのか。読み終わるまで気がつかずに高校時代の瑠香と大人になった瑠香なのかなんて思ってた。"Ano natsu futari no RUCAS" と書かれてなければ未だに気づいてなかったかも。ところで、高校生のヨウと14年後に大人になった遥が同じ人物のようには読めなかったのは小説的な技巧なんだろうか。2018/06/07