出版社内容情報
山白 朝子[ヤマシロ アサコ]
著・文・その他
内容説明
突然幽霊が見えるようになり日常を失った夫婦、首を失いながらも生き続ける奇妙な鶏、記憶を失くすことで未来予知をするカップル、書きたいものを失くしてしまった小説家、娘に対する愛情を失った母親、家族との思い出を失うことを恐れる男、元夫によって目の前で愛娘を亡くした女、そして事故で自らの命を失ってしまった少女。暗闇のなかにそっと灯りがともるような、おそろしくもうつくしい八つの“喪失”の物語。
著者等紹介
山白朝子[ヤマシロアサコ]
2005年、怪談専門誌「幽」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
286
科学的には何も証明されてはいないけれど、この世とあの世はつながっていて、ふいと交わる瞬間があるのだと思う。それは心にぽっかりと寂しさの穴がひらいた時だったり、何か食べ物や品物を介してだったり、人には言えない闇を抱えていたり、人の悪意に晒されていたり、大切な人を亡くした慟哭だったり、複雑で面倒くさくて、いつも幸せってばかりの感情では生きてゆけないから、この世の人は、あの世の人に救われたり教えられたりして、自分の心と向き合うことができるのかもしれない。だからきっと人生の終わりに見る走馬灯は、優しくあたたかい。2019/03/23
おしゃべりメガネ
262
久しぶりの山白さん作品です。やはり、いつものコトながら'さすが'としか言いようがありません。お得意?のホラーあり、ファンタジーあり、ヒューマンありとあらゆる作風で読者をしっかりと楽しませてくれます。こういうあらゆる雰囲気の作品をさらりと書けてしまう作者さんはやっぱり天才ですね。個人的には東日本大震災を扱った作品にココロが締め付けられ、ホロリとさせられました。震災後、新たな人生を再スタートする主人公の姿に勇気をもらえました。ちょっぴりホラーでありながら、どこか救いのある作品に読んでいて安心感があります。2018/03/21
いつでも母さん
247
中田氏絶賛も肯ける。タイトルにドキリとするが、8話からなる短編集。幽よりも哀を感じた読書になった。怖くは無い。多分脳ではなくて、皮膚で感じるのだろうか。ささくれ立った私の気持ちも萎えるのが実は心地よかったりもする。けっして力強い言葉ではないのに、その世界が私を締め付ける。好みはタイトル作と『世界で一番、みじかい小説』『子どもを沈める』山白朝子さん、趣味はたき火とか・・中田氏や乙一氏も一緒にその火を見つめ、手をかざすのだろうか。2018/03/20
yoshida
223
乙一さんの別名義作品。中田永一さんのような白乙一を想像してましたが、なかなかビターな作品集でした。オカルト色は統一されているが、苦い作品もあれば救いのある作品もあり。好みは別れるかも知れない。標題作と「子どもを沈める」は読むのが辛かったので、挫折本にしようかと思ったりした。反面、「トランシーバー」と「おやすみなさい子どもたち」に救いを見る。また、「世界で一番、みじかい小説」のラストに切なくなる。やはり白乙一が私の好みということだろう。とは言え、各作品における乙一さんの発想力には個性を感じ驚かされました。2019/04/20
羽衣 空
220
短編集。どの話も怖さの中に切なさが混じっていて悲しくなった。特に3.11の話、「トランシーバー」はやりきれない。2018/03/30
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