出版社内容情報
死とは、医療とは。医師であった著者が、永遠の問いに相対した傑作短編集。母親の脳手術と死、そして解剖??。死化粧を前にした人びとの姿を、苛酷なまでのリアリティで濃密に描き、芥川賞候補となった「死化粧」。心臓移植を描いた「ダブル・ハート」他、初期医療小説を収録。
渡辺 淳一[ワタナベ ジュンイチ]
著・文・その他
内容説明
死化粧を施され、死装束を着せられた母は、静かな美しさをたたえていた。そして母の脳だけが標本として残された。(「死化粧」)。末期癌患者を診ながら、医者である私は、癌告知をしたものかと頭を悩ませていた(「訪れ」)。医局で初めての心臓移植手術。死に瀕した患者の心臓提供を説得する立場に立った医師(「ダブル・ハート」)。人間の病と生命の果て、肉体の意味とを、医師の視座から描いた初期の傑作医療短篇集。
著者等紹介
渡辺淳一[ワタナベジュンイチ]
1933年北海道生まれ。札幌医科大学卒。70年『光と影』で第63回直木賞、80年『遠き落日』『長崎ロシア遊女館』で第14回吉川英治文学賞を受賞。2003年には紫綬褒章受章、菊池寛賞を受賞。2014年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Aoi\(*ˊᗜˋ*)/
4
図書館本。読みやすかった。いつの時代にもしには様々な人の心が交差する。昔は癌を知らせないのが主流だった。それがプラスなのかは分からかいけど、宇井先生はしってたんだろうなぁ。母の手術をした先生は、冷静だなとおもった。身内の手術をしたら冷静ではいられなさそうなのに。2019/03/04
くりこ
0
数多くの人間の死と接してきた医者しか見ることの、触れることのできない世界。 中編3作どれも強烈な印象だけど、とりわけ「ダブルハート」は強烈。医者は自分の功績の為、患者を「研究物」としかみていない。でも、医学的には単なる臓器でもやはり心が宿っていると思うのが人間。 うすら寒くなる医学界の一端。2022/08/20
yoshi
0
読後に生の只中にあって死の持つ重みが、ずっしりと心にのしかかる。医者ならではのリアリティ溢れる筆致に圧倒された。2022/07/22
クズティ
0
6月