出版社内容情報
中山 市朗[ナカヤマ イチロウ]
著・文・その他
内容説明
「怖い怪談は、夏だけのものではない」と断言する怪異蒐集家・中山市朗が、四季折々の行事や情景を織り交ぜながら綴る怪談集。毎年3月3日の朝に天井からバサリと落ちてくる異様なモノ、真夏のキャンプ場に佇む赤いコートの女、幼い兄弟の前に出現したサンタさんの意外な貌、大晦日前日の夜に神社で行われる奇妙なアルバイト…。家族の団樂や友人との思い出に、じわじわ浸食してくる怪異に戦慄する。書き下ろし2篇を収録。
目次
冬(馬;黄色いクツ ほか)
春(警備員を辞めた理由;落ちてくる ほか)
夏(常連客;雨の日のスナック ほか)
秋(九月五日;影 ほか)
冬(気になるあの子;今あった話 ほか)
著者等紹介
中山市朗[ナカヤマイチロウ]
兵庫県生まれ。怪異蒐集家、オカルト研究家、放送作家。作家育成塾「作劇塾」の塾長を務めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
57
実話怪談集。『新耳袋』シリーズの衝撃は無いものの、やはり語り口の上手さは流石といったところ。ただ話の内容が最近主流の不思議な話から、幽霊がダイレクトに出てくるものまで様々で統一感に欠けるような。というか幽霊がダイレクトに出てくる話は怖いというより、昔の怪談を読んでるようなノスタルジアを感じるんだけど。怪異が直接表に出ているものではなく、何かが起こってるけどそれがわからないという話に傑作が多いように思えた。「怖い、怖い」とか「妙なマンション」とか、その最たるものだし。「年末のアルバイト」も不穏で素晴らしい。2018/11/30
いぼいのしし
34
おもしろかった。なんだったのかわからないものもちらほら。それがちょっとリアルな感じ。2023/03/06
鬼灯の金魚草
26
今回は少し残念。それだけ。2018/04/30
瀧ながれ
23
読んでていちばんギョッとしたのは、知ってる地名が出てきた話ですが、地名ははっきり同じなのに、場所や大道具小道具に思い当たるものはなく、しかしよく似た事件の心当たりはあり、ああなるほど、「怪談」の演出のさじ加減はこのあたりか、と思いました。事実かどうかは棚にあげて、きっちり怖かったです。2018/01/19
pulpo8
23
適度な情報量で淡々と、でも味わい深いこの語りがやはりいい。映像もよく浮かぶし、臨場感もある。この語り口のお陰で内容まで信じたくなる…のだが、うーん、このシリーズ、だんだん雑になっているなぁ。この本単体で言うと、前半はさり気ない感じなのだが(印象にも残りにくいが)、後半雑。「キエーッ」って言いながら走り回るミイラはさすがに笑った。河童も笑った。「自分からのメッセージ」「常連客」「お金貸してね」は好き。多分こういうSF風怪談が好きなのだろうな。「赤いコート」「古都の夜」は映像的でいい。「渓流釣り」不気味。2018/01/18