出版社内容情報
最初は正体不明の不気味な黒い影だった。惑星アンシャンティ。航宙士試験に合格し、希望にあふれる十七歳のティナの周囲で奇妙な異変が起き始める。巨大なホールにさっきまでざわめいていた人々が忽然と消失したり、白い紙魚が広がるように街のあちこちがなくなっていたり……。まるで何かに浸食されていくように街のあちこちが消失していく。そして、親しい人々、友人たちも。この世界はどうなってしまったのか? ティナが繰り返し見る悪夢にその真実がかくされているのか? あの名作がついに復刊!
内容説明
最初は正体不明の不気味な黒い影だった。惑星アンシャンティ。恋人デュークのあとを追いかけて、航宙士試験に合格し希望あふれる、17歳のティナの周囲に異変が起き始める。巨大なホールでさっきまでざわめいていた人びとが忽然と消えてしまったり、白いしみが広がるように街のあちこちが文字通りなくなっていたり…。それは家族、友人、恋人の記憶さえも。繰り返し見る悪夢に謎を解く鍵があるのか?鬼才が描く傑作SF。
著者等紹介
竹本健治[タケモトケンジ]
1954年兵庫県生まれ。『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」で連載し、作家デビュー。『涙香迷宮』は「このミステリーがすごい!2017年版」で国内編第1位、2017年第17回本格ミステリ大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chiru
64
謎の集団消失が起こる「それ以前」。 化け物との闘いにシフトする「それ以後」。 たったひとつしかない現実に比べ、非現実は、仮想現実、悪夢、虚構を例に無限であり、境界線は曖昧。 でも戦うならルールとゴールが欲しい気がする。 立ち向かうヒロインが「やはり答はなかった。答もなく、支えもなく、思い出に繋がる何物もなく…」と虚無感のもと長い眠りに入るラストがもっとも怖いといえるのかも。★22018/03/16
たか
36
竹本健治と言えば『匣の中の失落』が有名だけど、個人的にはこっちの方が好み。現実と虚構が入り混じったSFホラー。映画『マトリックス』を彷彿させる。B評価2018/02/21
なるせの
10
主人公の世界の根幹を揺らぐ展開って好きだ。 あらゆるものが変化してしまう。反転というか、異世界というか。それくらいの大きな変化。 持っていたものがすべて失う。 でも、その人自身が学び築いてきた知識や技術って奪われることはない。17歳ティナという主人公の試されている感じが追体験としてわくわくする。 2018/04/08
Ai
5
後半が弐瓶先生の『BLAME!』みたいで、めっちゃ好みです。2019/05/07
しい太
4
平穏に暮らす自らの世界が「なにか」に浸食され少しずつ失われていく。身近な人が存在ごと抹消されたりVRアミューズメントの最中に虚構が干渉したりといった描写が確かに怖く、なぜか角川ホラー文庫で扱われたという経歴は伊達じゃない(初出は1986年)。作品の本領はどちらかといえばSFギミックが全方位に展開される後半部分だが、正直実体とそうでないものの違い(多分肝心)がよくわからず、かといってつまらないわけでもなく、イーガン作品を読んでいる時に近い気持ちではあった。2023/02/16
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