イップス―魔病を乗り越えたアスリートたち

澤宮 優【著】

ＫＡＤＯＫＡＷＡ（2018/01発売）

• サイズ B6判／ページ数 232p／高さ 19cm
• 商品コード 9784041059289
• NDC分類 783.7
• Cコード C0095

出版社内容情報

集中しなくてはいけない局面で、身体が震えたり、固まったり。
イップスの原因は科学的に解明されていない。
アスリートだけでなく、明日のあなたにも起こりうる病である。
イップスを克服した５人のアスリートと、それを支えた指導者、医師らに取材。
知られざる魔病の実態に迫る。

内容説明

集中しなくてはいけない局面で、身体震えたり、固まったり。イップスの原因は科学的には解明されていない。アスリートやミュージシャンだけでなく、明日のあなたにも起こりうる病である。大事な場面で、手が動かない…その地獄から、彼らはどうやって這い上がったのか？

目次

捕手にボールが届かない―元北海道日本ハムファイターズ投手・岩本勉
一塁への送球がスライドしてしまう―元東京ヤクルトスワローズ内野手・土橋勝征
ボールが指にひっかかる―元北海道日本ハムファイターズ外野手・森本稀哲
自分の写真を見たことでパター不振に―プロゴルファー・佐藤信人
パターする腕に電気が走った―プロゴルファー・横田真一
イップスのメカニズム

著者等紹介

澤宮優［サワミヤユウ］
１９６４年、熊本県生まれ。ノンフィクション作家。青山学院大学文学部史学科卒業、早稲田大学第二文学部日本文学専修卒業。主に陰の世界で懸命に生きる者に光を当てることをテーマに幅広く執筆。２００３年に刊行された『巨人軍最強の捕手』（晶文社）で第１４回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[えちぜんや よーた]

イップスはうつ病と似ていると思う。うつ病は薬物療法による治療がメインであるがそれだけで治るわけではない。自分の日常生活や行動、考え方などを見直して一つ一つ改善をする。かかったことがない人にとってうつ病は魔病かもしれないが、病に至るメカニズムはそれなりに説明ができる。タイトルは「乗り越えた」となっているが「上手く付き合った」とした方が適切だと思う。元・日本ハムファイターズの岩本選手や森本選手のようにイップスにかかっていることを正面から向き合うことが大切で、そのことはうつ病治療と全く同じだろう。

2018/05/24

[fwhd8325]

イップスという症状がいつの間にか定着したように思います。最近では、タイガースの藤浪選手もイップスでないかと言われています。著書は、イップスを克服した例が紹介されているのですが、それは一握りなのかもしれません。ちょっとした言葉が引き起こしてしまうことも、回復させることもあるのでしょう。特効薬はないのでしょうが、回復する道筋は成功例が証明しています。苦しんでいるアスリートがいれば、諦めるなと応援したい。

2018/04/26

[みこ]

今でも精神論で語られがちなイップスについて正面から取り組んだ一冊。やはりこういう世間で誤解されがちな内容は経験者の言葉が重い。恐らくイップスを克服できずに表舞台を去った人は大勢いるだろう。まずは向き合うことが大切なので、本書がイップスに悩む多くのアスリートの支えになって欲しい。また、本書の経験者たちは周りのコーチにも恵まれている。未だに精神論に支配されている指導者たちにも読んで欲しい一冊である。

2021/12/19

[たかやん]

イップスとは元々ゴルフから野球に転用された言葉だそうで、野球選手3人ゴルファー2人と彼らを支えた人たちの証言を紹介します。イップス発症にはどうやら一定の条件があるようで、そのメカニズムが薄ぼんやりと見えてくる。そしてイップスという１つの事象を越えた、試練に向き合う人生の書として、とても勇気づけられます。いま読めてよかった。

2019/03/03

[R]

大変興味深い本でした。ゴルフや野球で有名なイップスという症状について、まだ解明されていない実態、対処方法などについて触れつつ、実際に悩まされた元プロ選手の貴重な語りを加えての内容。職業人として、この病にかかることの恐ろしさ、それゆえに隠され、解明されないという悪循環も含めて、イップスという魔物がどんなものか思い知ることができる。精神的な問題だけでなく、技術的な側面からも発生するようで、今活躍する選手の中にも悩まされている人がいるのだろうと思うと、軽々にスポーツを楽しめなくなりそう。

2018/09/18