内容説明
路上のくじ引きで一等賞を当てた斉藤夕月。異世界に飛ばされ、10の願いを叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれたと聞かされる。その使い道を考えるうちに目の当たりにするのは、自らの暗い欲望、人の抱える業の深さ、祈りの尊さ…。折しもマキオと名乗る別のスタープレイヤーが来訪、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていくことになり―。RPG的興奮と壮大な神話世界を融合させた未曾有の創世記!
著者等紹介
恒川光太郎[ツネカワコウタロウ]
1973年東京都生まれ。大東文化大学卒。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞。単行本はデビュー作にして直木賞候補に。続く『雷の季節の終わりに』と『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補と、新作を出すごとに注目を集める。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
195
既読の恒川作品とは趣が異なるファンタジー…「10の願いを叶えられる」…私が少年時代、ほぼ毎晩夢想した事を「中年女性の主人公が異世界に飛ばされて」という設定にした点が「プロ作家は流石だなぁ」と素直に思えた。そしてルールが判り易く、直ぐその世界に馴染めた。「スターボード」や「案内人」なども思い浮かべるのが容易で楽しい。単なるゲーム感覚物語に終始せず、人間の闇や業も描き、魅力的な登場人物を配しているので、恒川さんらしい独特の香りが漂っているのも嬉しい。主役の成長物語なので読後感好く、続編も期待して読み進めよう♪2017/12/25
yoshida
155
恒川光太郎さんの作品では異色のファンタジー小説。圧倒的な面白さ。スーパーからの帰りに夕月は長身の白い男から籤引きの箱を差し出される。一等のスタープレイヤーを引いた夕月は異世界にいた。案内人の石松から十の願いが叶う権利を得たと知らされた夕月は、半信半疑ながらもその力に驚愕する。やはり、恒川光太郎さんの発想力及び想像力は素晴らしい。単に願いを叶えるだけでなく、様々な人との出会いや、異世界の設定により物語に深みを持たせる。私はファンタジーは普段読まない。だが、一気に読ませる巧みさがある。読書の悦びがある一冊。2020/07/25
takaC
109
分かりにくいけど『ヘブンメイカー』よりは分かりやすいかな。2018/07/23
dr2006
98
現実と想像の境界線が霞む。壮大な世界観を堪能できた。けど、谷底にいた頃に観た映画「死ぬまでにしたい10のこと」も思い出した。路上に現れた男からくじを引き一等賞を当てた主人公斉藤夕月は、突然地球に良く似た異世界に飛ばされる。選ばれし夕月は★スタープレイヤー、10の望みが叶うという。夕月は早速、怪我の後遺症を治し容姿を美しくした。庭付き豪邸を建て食料を蓄え贅沢を尽くす。この異世界で一人だと思っていた夕月の前にある日、マキオという男が現れる。リミッターが外れた人の欲望が行きつく先とは何か?色々と考えさせられた。2021/07/16
あも
98
一等!スタープレイヤアアア!の声で異世界へ。どんな願いも10個叶う力、移動に応じ更新される地図、動植物を図鑑に登録、現地民の村や国があり、戦争も…めちゃくちゃワクワクする!夜市系の雰囲気を期待したファンに不評なのも分かるが、ラノベなら決して採用されないような主人公の背景やディティールの端々に恒川ールドを確かに感じた。ありがちな異世界召喚モノが著者にかかるとこうなるのかという興奮!というかもう何もかもが好みで大満足!ひねた過去と訣別し、世界を開け!あなたなら何を願い、どう生きる?一等、スタープレイヤアアア!2017/11/28