内容説明
妹が失踪したと、絹枝という女が犯罪学の権威・畔柳博士を訪ねてきた。折しも博士は、とある会社の怪しい従業員募集の新聞広告に犯罪の匂いを感じていた。絹枝の話では、妹・芳枝はそこに応募したとしか考えられない。博士の悪い予感は当たり、芳枝はすでに惨殺されていた―。好みの女性ばかりを狙う、卑劣な殺人鬼・蜘蛛男とは何者か?そして彼の正体を暴き立ち向かう、明智小五郎の作戦とは!?―。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894年三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー。以後、探偵小説を次々発表。怪奇小説、幻想小説にも優れた作品が多い。代表的なシリーズに、「怪人二十面相」「少年探偵団」などがある。日本の小説界に多大なる業績を残す。65年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
126
面白かったです。乱歩の探偵活劇と言うに相応しい作品です。通俗を主眼にしたエログロと蜘蛛男の見せ物は乱歩の趣味が色濃く出ているように思います。失踪した妹の相談で尋ねた犯罪学者が、話を聞くだけで犯罪の匂いを嗅ぎ分けるという出来過ぎの設定も乱歩らしさが感じられます。大掛かりな殺人へと導かれ、明智小五郎も登場し、二転三転する流れにのめり込んでしまいました。終盤へ向かい、蜘蛛男の正体など圧倒される場面が多かったです。蜘蛛男が最後に芸術作品へと昇華されていくのが美への異常なまでの執着心を見たようでした。2016/01/06
ehirano1
92
大迫力ドッキドキのストーリーに一時も目が離せない、まるで映像を観ているような錯覚に陥りました。明智探偵が登場する後半からは、少しの隙も見逃さないプロ対プロの対決は特に圧巻でした。いやぁ~堪能しましたわ!2023/01/03
『よ♪』
46
明智小五郎、第七作──女事務員募集。18歳。愛嬌ある方──都内某所、第一の殺人。──セールスマン募集。独身で無能な方──朽ちた石膏像。犯罪学者と敏腕警部。え?娘ならたった今、そちらのお迎えが──第二の殺人。人魚の水死体。共通点、そして第三の──『けさ日本についたばかりです…フッ』あと出しが板についてきたなぁ、オイっ!?…つづく2022/08/20
coco夏ko10角
37
犯人もトリックもわかってるのに読んでて面白い。やっぱり江戸川乱歩の作品世界の空気はすごい。蜘蛛男、とんでもないやっちゃ…。2016/09/16
yucchi
35
物語が3分の2まで進んで明智小五郎登場。あれ?と思って裏表紙見たら明智の名前書いてあったわ(笑) 後半になって二転三転するけど、ちょっとゴチャゴチャっとしてしまった感じがある。明智が登場するまでが面白かったかなぁ(=ω=;)2015/06/24