内容説明
奇人資産家・伊志田鉄造の一家を血の惨劇が襲う。物屋敷のような洋館で、一人また一人と犠牲者は増え、遂には犯人を追う明智小五郎も凶弾に倒れてしまう。事件の裏に秘められた一家の真実とは?怪奇ロマンあふれる表題作「暗黒星」他、4編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
69
表題作他、全5編。表題作は、明智小五郎シリーズの1編。古い洋館を舞台に、黒づくめの謎の人物が暗躍し、家族が次々に狙われるという展開は、いかにも乱歩らしいところ。謎解き部分が駆け足で、大きな秘密が、あっさり指摘されて解決というのも、これもまた、乱歩らしいと言えば乱歩らしいか。もう1編の長編、素人探偵・河津三郎が主人公の「幽鬼の塔」は、河津が謎めいた人物の謎の行動を探るうちに、自分が狙われるようになるという展開は面白いが、謎解きが推理ではなく、謎の人物たちが、事実をぶちまけて終わり、というのはどうなのだろう。2023/06/20
波璃子
16
「目羅博士」がとても好き。乱歩が高層ビルを異様に感じていたことから生まれた作品である気がする。ガラス張りの無機質な建物が鏡写しのように聳えていてその壁面に月の光が反射している様子は、今は当たり前でも当時はとても不気味で妖しげだったのだろうと思う。2015/09/12
シルク
4
暗黒星はまあまあ。幽鬼の塔は、素人探偵の奇行がちょっとね。むしろ目羅博士など、他の3短編のほうがしっくりきた。2020/12/27
MZH
3
暗黒星、お勢登場、目羅博士、木馬は廻る、幽鬼の塔 が収録されています。 多分江戸川乱歩の醍醐味のエログロやおどろおどろしい感じは一切ないスッキリした一冊✧︎(らしさが本当は好き 暗黒星の明智の流石なスマートさと、幽鬼の塔の河津の好奇心旺盛さの書き分け方に笑ってしまいました(笑) 印象に残り好きなキャラクターは名探偵を除いたら、お勢と目羅博士が圧倒ですね✧︎ たまにはスッキリ乱歩も楽しかったです。2021/07/20
TYK
2
江戸川乱歩初読。そもそも推理とか探偵小説好きじゃないから期待してなかったけど面白かった。目羅博士が1番好きで、物語の語り手の神秘的な話し方だったり雰囲気がすごく怪しくて良かった。2016/06/04