内容説明
雷のような鼾をかいて寝ている男の口に、おれは天井の節穴から毒液を注ぎ込んだ。ぞくっとするような快感が背筋を走る。これこそおれの最高の遊びなのだ!世の中のどんなものにも全く興味を失った男が、たった一つ見つけた秘かな楽しみ。それは屋根裏の散歩だった。他人の前では見せない、人間のさまざまな醜態を眺めて、ほくそ笑む無気味な男。変態生活者のみだらな快楽、完全犯罪の可能性を追求した乱歩の名作。ほか3編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タナー
15
小学生の頃、明智小五郎と少年探偵団の物語を夢中になって読んでいたのを思い出す。自分が歳を重ねるにつれ、色んな本を読むようになったが、不思議なことにこの江戸川乱歩氏の作品は大人になってから全く読んでなかったことに気付いた。そんなこともあり手にとってみたのだが、懐かしいようで新鮮なような、ちょっとワクワクするような思いで読むことができた。やはり永きに亘って読み継がれる作品というのは素晴らしい。勿論、乱歩氏の他の作品も、これからまた読んでいきたい。2019/08/09
いくるみ
14
お気に入りさんに「屋根裏の散歩者」をおすすめしていただいたので読みました。「人間椅子」の時もそうでしたが、このネットリした雰囲気が凄く好きでした。あと名前だけは知ってた明智小五郎さんの登場に少し驚きました。「人間豹」を読みながら、明智さん意外とウザ可愛いな、とどうでもいい事を考えていました。2014/02/12
とうゆ
8
表題作の『屋根裏の散歩者』はもちろん面白いが、『押し絵と旅する男』もよかった。実は狂った老人の与太話かも知れないという感じがまた良い。『人間豹』は幼い頃に読みたかったかな。トリックも子どもっぽくつまらなかった。2013/12/13
鹿の子
7
何度も繰り返して読んだ名作すぎる表題作、乱歩作品の名物とも言える「名探偵明智小五郎対怪人」の王道を行く「人間豹」、読むうちにその幻想的な雰囲気に飲み込まれ、小劇団で演じられるような演劇の脚本と演出方法まで思い付いた「押し絵と旅する男」…時間を忘れます。人間豹は初めて読んだけど、思わず手に汗握ってしまった。あのねっとりして陰湿で何処までも勿体振る書きっぷりに何度ぞっとさせられたか!でも酷く惹かれる。乱歩って何気にドSだよね…乱歩ワールドは一度入ったら抜け出せない。まだちらちらと、瞼の奥に残っている。2014/08/19
ペトロトキシン
7
小中学生の時に読んだ「怪人二十面相」を思いだし、懐かしい気分で読んでました。今読むと、明智探偵の犯人に至るまでの過程は、かなり強引で粗削りな部分も目立つが、あの頃は明智探偵と小林少年の冒険にワクワクしたものです。 「人間豹」…長編だったのに、事件解決してない…人間豹に逃げられとるがな!2010/07/29
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