出版社内容情報
ヤクザと闘い、警察を出し抜き、ストリップ業界を支配した元銀行マン!!
内容説明
刃物をもったヤクザと大立ち回り、相手を病院送りにする。警察の手入れに激怒し、腹にダイナマイトを巻いて警察署を襲撃し逮捕。業界のドンとして全国指名手配をされるも逃げ切る等々。このような武勇伝と裏腹に、その男・瀧口義弘は線の細い銀行マンだった。福岡の進学校を卒業後、福岡相互銀行(現・西日本シティ銀行)に勤めていたが、昭和50年にストリッパーとして活躍していた姉に誘われ、その日のうちに辞表を出して劇場に飛び込んだ。以後、彼は帝王としてストリップ業界を差配するまでに上り詰める。15年以上にわたり、日本各地、世界各国の色街を取材し、ストリップ劇場の栄枯盛衰も見てきた著者が描く、悪漢にして好漢の一代記!!
目次
第1章 芸界―銀行マン、ストリップ業界に入る
第2章 台頭―ダイナマイトを巻いて警察に乗り込む
第3章 家族―全国指名手配から逃げる
第4章 帝王―経営再建の名手となる
第5章 挫折―後継者育成に行き詰まる
第6章 劇場―最後の公演を見届ける
著者等紹介
八木澤高明[ヤギサワタカアキ]
1972年神奈川県横浜市生まれ。写真週刊誌フライデー専属カメラマンを経て、2004年よりフリーランス。01年から12年まで取材した「マオキッズ 毛沢東のこどもたちを巡る旅」が第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むぎじる
33
銀行員からストリップの世界へ飛び込んだ瀧口義弘。踊り子たちから厚い信頼を寄せられた、ストリップ界の帝王の一代記。昭和50年頃から始まる話なのに、戦後間もない話と勘違いしそうな濃度を持つ、業界独特の空気にあてられる。最近、ストリップに女性客が増えているというドキュメンタリーを観た。性から芸を売る世界に変わりつつあるようだ。今瀧口がいたら、踊り子をタレントと呼んで大事に扱っていただけに、ストリップ界に一石を投じたかもしれないなと想像してみたり・・・。人との信頼を第1に裏街道を一心に走ってきたゴールは切ない。2019/01/24
もっしゃん
28
『ストリップの帝王と呼ばれる人がいるんですけど、知ってますか?』 全盛期は300人の踊り子を仕切り、その影響力は全国の劇場に及んだ帝王「溝口義弘」のルポルタージュ。伝説的ストリッパーだった姉の一本の電話で銀行を辞め、34歳で転職。ヤクザと闘い、警察を出し抜き、月収1億8千万のほとんどは博打に注ぎ込んだ。ストリップの黄金期作りあげると同時に衰退させた男の数奇なる物語…。ストリップの誕生から移り変わりも紹介されて往年のファンから最近知った人でも楽しめると思う。でも、本当はこんなものではない気もするけど… 2018/02/28
tom
15
銀行員からストリップ劇場の従業員に転身、そしてストリパー300人を抱える手配師になった男の一代記。彼の人生は、ストリップという興業の盛衰と連動、そして、ストリップの衰退は、興業内容のエスカレートとも連動したという著者のコメントになるほどと思う。過激さは人を呼び寄せるが、一方で刺激の閾値には限界があって、ある一瞬で飽きられてしまうもの。なるほどなあと思って読了。それはともかく、不思議な誠実さを持ち続けた「帝王」の履歴はすごいとは思う。 2018/06/19
宮本篤志
6
私はストリップが好きです。最近はお金無くなったから行っていないですが、3年ぐらい前はほぼ毎週行っていました。ストリップの良さは何かと聞かれたら、それは哀愁だと思います。ストリップには哀愁が詰まっています。古びた劇場には哀愁がありますし、小汚い常連客には哀愁がありますし、ベテランストリッパーの身体と笑顔には哀愁があります。そして、この本の主人公瀧口さんは哀愁の塊だと思います。後先考えず、その瞬間に全力を尽くし、パッと光って、そして散っていく…その姿に哀愁を感じるのではないでしょうか?それは日本人の美学です。2018/07/24
Zoo
4
ストリップ業界の光と闇を帝王と呼ばれた人物を通じて描く。滝口家族の常識破りの決断や行動にも驚かされるが、当時のストリップ業界の隆盛ぶりにも驚かされる。またそのルーツが大衆演劇、さらに歌舞伎にまで遡るという変遷感も興味深い。この狂気の時期に外国人タレントの不法労働や本番まな板ショーなどタレントのステージアレンジの口銭だけで月収1億8000万円まで上り詰めるが、ストリップの栄光の時期は長くなく、時代の流れによる衰退とともに、後継者の不在などから最後は生活保護まで受けるようになる。まさに波乱万丈の物語だった。2018/02/09
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