出版社内容情報
一度は星のように輝きたい──年老いた1本のガス灯が、長年の願いをあきらめて、自分のつとめに無心に専念したとき、思いがけない幸福が訪れる……。「泣いた赤おに」で知られる浜田廣介の知られざる名作、初の絵本化。
内容説明
がい灯は、いつもだまって道をてらしています。年をとった一本のがい灯は、長いあいだ、ひとつのねがいをもちつづけていました。さて、そのねがいはかなうのでしょうか?
著者等紹介
はまだひろすけ[ハマダヒロスケ]
浜田廣介。1893年山形県生まれ。童話作家。早稲田大学在学中から懸賞小説や懸賞童話に入選、卒業後も童話を発表し、大正から昭和にかけて活躍した。1942年野間文芸奨励賞、1961年産経児童出版文化賞など受賞。日本児童文芸家協会初代会長を務めた。1973年没。故郷の高畠町に浜田広介記念館がある
しまだしほ[シマダシホ]
1967年東京都生まれ。絵本に『海のやくそく』(産経児童出版文化賞美術賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
109
絵がレトロで良い感じと思ったら、大正9年の童話。作者の生誕120年目に絵本になったそうです。町外れに立つ古い街灯。一本の脚はくたびれて、『彼』に残された時間はわずかです。「星のように輝いてみたい」という願いを抱いていた街灯。だけどガスの灯りは弱くて、ほの暗い光しか出せません。せめて誰かに一度だけ言ってもらいたい。そんな願いは小さな虫にも笑われて諦めが心を支配します。その時初めて、街灯は「今のままで良い」と自分を肯定できたのです。心が静かになった時、彼の光は輝きを増したようでした。2013年11月初版。2015/11/18
やも
89
読み友さんレビューで気になって借りてみたら、この間読んだ【桃太郎は盗人なのか?】で気になった【泣いた赤おに】の作者・浜田広介さんの本だった!そしてこれがまぁー良かった😭✨おんぼろな街灯の願い。誰かに言われたい言葉。誰も言ってくれない言葉。健気に生きる姿を誰かが見てくれたこと、通りすがる人に思いがけず報われること、自分の体を使いきる美しさ、それが叶ったらもう…。これ読んで思ったけど、私って物が擬人化する話が好きなのかも🤔★42022/12/17
はる
72
浜田廣介さんらしい物悲しい物語ですが、じんわりと温かい。しみじみとした余韻を残します。この原作を絵本化された、しまだしほさんの絵と画面構成が秀逸。静かでドラマチックな展開に引き込まれました。年齢を重ねた大人のほうが、響く内容ではないでしょうか。2022/11/25
ぶんこ
63
「星のよう」と言われることを夢見ていた古い街灯。夢が叶うことがないまま時は経ち、嵐の前奇跡が。通りかかった親子の10歳くらいの男の子が「あの星よりあかるい」と。街灯としての任務を全うして最期を迎えましたが、夢が叶った日でもあったのが嬉しい。2022/12/03
Rosemary*
54
ふとした気持ちの切り替えで、自分のつとめに対する想いも変わる。その先にずっと思い続けた願いが叶うとしたら…。胸があたたかくなり素敵な余韻に浸るお話。幸せとは何か、改めて考えさせられます。命の幕が下りる時、微笑みをたたえることが出来たら良いな。2015/11/03