不時着する流星たち

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  • サイズ B6判/ページ数 256p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041050651
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

たくらみに満ちた豊穣な世界文学の誕生!盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。

第一話 誘拐の女王
第二話 散歩同盟会長への手紙
第三話 カタツムリの結婚式
第四話 臨時実験補助員
第五話 測量
第六話 手違い
第七話 肉詰めピーマンとマットレス
第八話 若草クラブ
第九話 さあ、いい子だ、おいで
第十話 十三人きょうだい

小川 洋子[オガワ ヨウコ]
1962年、岡山生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。91年、『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞。03年、『博士の愛した数式』がベストセラーになり、翌年、同作で読売文学賞と本屋大賞を受賞。同じ年、『ブラフマンの埋葬』が泉鏡花文学賞、06年、『ミーナの行進』が谷崎賞、12年『ことり』が芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。

内容説明

ヘンリー・ダーガー、グレン・グールド、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー…世界のはしっこでそっと異彩を放つ人々をモチーフに、その記憶、手触り、痕跡を結晶化した珠玉の十篇。現実と虚構がひとつらなりの世界に溶け合うとき、めくるめく豊饒な物語世界が出現する―たくらみに満ちた不朽の世界文学の誕生!

著者等紹介

小川洋子[オガワヨウコ]
1962年、岡山生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。88年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。91年、「妊娠カレンダー」で芥川賞を受賞。2003年刊『博士の愛した数式』がベストセラーになり、翌年、同作で読売文学賞と本屋大賞を受賞。同じ年、『ブラフマンの埋葬』が泉鏡花文学賞、06年、『ミーナの行進』が谷崎潤一郎賞、13年『ことり』が芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

579
10人(人というには例外あり)の人たちにインスパイアされて書かれた10篇の短篇小説集。いずれも、どこか不思議な雰囲気を纏ったお話だ。その意味では、これらは始原的な意味でのモノガタリであるのかも知れない。いずれも、わずかに25ページくらいの小品なので、一見したところそこに描かれるのは語り手を中心とした小世界である。ところが、そこから想像力が翼を得て空間と時間は無限の拡がりを見せる。とりわけ心の琴線に触れたのは第一話「誘拐の女王」と第十話「十三人きょうだい」。そして、それらの間を埋めるのは個性煌めく物語群だ。2017/04/27

starbro

368
小川洋子は、新作中心に読んでいる作家です。本書のタイトルも良いし、各短編のネーミングも小川洋子ワールド炸裂!実在した著名人のオマ-ジュ幻想短編集。オススメは『誘拐の女王』と『肉詰めピーマンとマットレス 』です!次は長編を読みたいなぁ。2017/02/16

ウッディ

272
実在した偉人・奇人のエピソードをモチーフにした10編の幻想的な短編集。夢を見ているような不思議な読後感で、作家がある出来事から、着想し、自由な空想し、物語に仕上げていくプロセスがわかるような本でした。個人的には、第二話の「散歩同盟会長への手紙」が好きでした。出版社の梱包係としての仕事に誇りを持つ孤独な主人公が、行きつけの喫茶店のプレゼントの梱包を手伝い、喜びを感じる物語で、他人を気にせず、自分らしく生きる姿が、市川拓司さんの小説の主人公を彷彿とさせ、心に染みました。タイトル、装丁ともに素敵な一冊でした。2018/07/13

風眠

241
過去はどうして、いつも美しいのだろう。もう失われてしまった風景だからなのか。それとも、もう死んでしまった人だからなのか。時折、私の胸に不時着する流星たちは、小さな声で歌をうたう。よくよく耳を澄ましていなければ気づかないくらい、小さな小さな声で。片隅で生きている私たちを、隙間に漂っている私たちを、どうか忘れずにいて欲しい。優しさと哀しみの波打ち際に打ち寄せられた、ほのかな狂気の歌。グロテスクさの中に見え隠れする、ひそやかな祈りの歌。小川洋子の掌から零れ落ちた、小さな星たちの歌。儚さと不穏のはざまで、響く歌。2017/03/13

さと

235
目の前の扉を開いたと同時に、一瞬たりとも他ごとを考えてはいけない、そこにあるものの存在、それが放つ全てに全神経を集中しなくてはならない そんな世界を旅した気分。小川さんの作品を読むと、全宇宙に存在する万物が与えられた使命を真摯に受け止め、ただ全うしようとしているのだという気になる。改めてそれらに意識を向けた瞬間、自分という人間がこの世に不時着する前には万物と等しく存在していたのかもしれないとさえ思えてくる2017/05/25

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