出版社内容情報
河合 莞爾[カワイ カンジ]
著・文・その他
内容説明
多摩川の河川敷で臓器を抜き取られた猟奇死体が発見された。警視庁捜査第一課の警部補・鏑木率いる4人の特別捜査班は、現場に残されたトンボのネックレスを手掛かりに群馬県の奥地の村へ向かう。やがて被害者は村出身の青年・遊介と判明。20年前に起きた夫婦殺害、ダム建設反対運動、巨大トンボ伝説など、事件との関連が次々と明らかになり混迷を極めていく。鏑木班は遊介の幼馴染みである泉美と建のふたりに事情を聴くが…。
著者等紹介
河合莞爾[カワイカンジ]
熊本県出身。早稲田大学法学部卒。現在出版社勤務。2012年『デッドマン』(「DEAD MAN」より改題)で第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nobby
123
シリーズ2作目。個人的には前作を超えて面白かった。河川敷での臓器を抜き取られた焼死体の発見から始まる展開だが、グロさは最初だけ。SF的に不可思議なプロローグから、人里離れた飛龍村での全盲の少女の周囲での殺人や人間模様、そして反対を押し切るダム計画など全く関わり無い事柄が全て“トンボ”によって集約される。予想と違わず進む真相が、分かりそうで明かされない具合が絶妙(笑)鏑木特捜班4人の個性は健在だが、彼らが解き明かした嘘にならなかった真実がせつない。2016/08/04
TAKA
71
「デッドマン」の続編であり鏑木班シリーズ第2弾。今作は首から下を切り裂かれた上に内臓を抜かれ焼き殺された死体。このえげつない殺し方からトンボとどう結び付くのか。汚職が絡み過去の殺人が絡み怨恨か、サイコパスか、謎解きしながら読めます。捜査する刑事がちょい軽いなあと思うけど重い話だからまあいいか。忌まわしい真実を、あってはならない真実を、本当にあるべき真実に変えるのだ。騙したつもりが見破られてた。優しい嘘はつかないほうがいい。2020/05/04
森オサム
70
鏑木シリーズ二作目。良い点も悪い点も大きく有る作品では有った。不可思議な謎が次々出て来るのはワクワクしますが、分かり易い謎でも回りくどい、独白意外には推理出来ない部分が多い、とか。刑事キャラが個性的で魅力的な部分ですが、言動が極端過ぎて違和感に繋がり、悲惨で哀しい事件の重さとは合わないかな、とか。長短両極で色々気にはなりましたが、個人的には良かったと思います。全て話せばよかったのか?、いや言えない事は言えない。でも嘘では無い。だって、真実なんて、ないから。子供達も大人になる。すれ違った気持ちが切なかった。2020/05/23
はつばあば
69
デッドマンに続き鏑木さん登場( ^^)。この本は事件物にも関わらず、政治経済についても、頭の悪い婆に良くわかるように教えてくれた。戦争をしない日本には巨額の「無駄遣い」が必要と。無駄が雇用を生み国中に金を循環させると・・(今じゃ格差社会と呼ばれているけどな)。若い人には大変な世の中になってるのだから、年寄がぼやいても仕方ない。ダムのムダ、洒落にもならんが自然崩壊、児童虐待に児童買春?不都合な真実・・(?本があったような)に、子供達が歪められるのが哀しい。次はダンデライオン?文庫になるのはいつのことやら・・2016/07/01
GAKU
66
鏑木捜査班シリーズ第2作。超常現象のようなプロローグと、多摩川で腹を切り裂かれ内臓を全て抜き取られた、猟奇死体が発見という事件の勃発。全く先が読めないスタートで、もしかしてオカルト的な展開?と一抹の不安を抱きつつ読み始める。しかし良い意味で期待を裏切られ、全く違う展開に。結末が気になり一気に読んでしまった。真相が解明されるにしたがい、そこには隠されていた悲しい事実が。シリーズ1作目をはるかに超える面白さでした。ここ最近読んだ中ではダントツに面白かったな!2016/09/19