出版社内容情報
人気作「MM9」シリーズの世界で描かれる、愛と絆の物語
あまりにつらすぎる現実と向き合ったとき、人間たちから忌み嫌われる異形の存在と心を通じ合わせ、かけがえのない友だちとなった少年・少女たちがいた……。本当の”心”を持つものは人間だけなのか? 珠玉の感動作
内容説明
アメリカの田舎町。11歳のハロルドは、湖に棲むモンスターを呼び出す実験に夢中だ。だが、血まみれの水着を残して少女が消え、恐ろしい噂が町を駆け巡る…(「夏と少女と怪獣と」)。タイ、北部。親に捨てられ、売春を強要された過去を持つシリヤム。絶望する彼女の声に耳を傾けたのは、巨大な怪獣だった(「怪獣神様」)。怪獣との邂逅を通じ容赦ない現実を乗り越えようともがく人間の姿を鮮やかに描く珠玉の4篇。
著者等紹介
山本弘[ヤマモトヒロシ]
1956年京都府生まれ。87年、ゲーム創作集団「グループSNE」の一員となり、作家およびゲームデザイナーとしてデビュー。『アイの物語』は吉川英治文学新人賞候補となる。『去年はいい年になるだろう』で第42回星雲賞日本長編部門(小説)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
74
「生と死のはざまで」現実が少年を拒否したのか?少年が現実を否定したのか?「夏と少女と怪獣と」ボーイミーツガール&怪獣&ミステリ「怪獣神様」神は顕現してはいけない!その瞬間に物質(俗)と化し、傲慢な人間たちによって…「怪獣無法地帯」プロローグでなぜかしら“ジャミラ”をイメージしたが、女性ターザン秘境冒険物&エスピオナージ…いづれもバラエティーに富んだ4つの怪獣短編だ。「生と死のはざまで」の肩すかし感は残念だが、続く3編は味わい深い作品で、なかでも「怪獣無法地帯」の怪獣のスケール観に昭和のリアルを感じた。2015/12/21
まえすとろ
43
山本 弘による怪獣小説『MM9』3部作の世界で起こるスピンオフストーリー4編を集めた短編集。正統派な怪獣SF小説として描かれた一作目の『MM9』でみられたハードなドラマ展開から一転、『MM9―invasion―』『MM9―destruction―』に観られるボーイ・ミーツー・ガール、少女と怪獣といったライトノベル寄りのコンセプトを継承するストーリーではあるものの、少年の自立、ミステリー仕立ての冒険譚、疎まれた者の心と神の存在、自然と文明といったシリアスなテーマを「怪獣のいる世界」の中で描き切った秀作ぞろい2015/12/11
ヨーイチ
39
怪獣小説三部作の外伝って位置付けで短編が四作。四作とも世界観(怪獣が実在するが、それ以外は現実を糞真面目に踏襲している)を共有しているが其々趣が異なっていて作者の多才さを示している。あと「少女趣味」が横溢しているが、清純、正しさ、可愛らしさを貫いていて、ちょっと気恥ずかしくなる程。つい、ニヤニヤ笑ってしまうのである。ここらが好き嫌いが別れる所だと思っている。キングコングへのオマージュ「怪獣無法地帯」がお気に入り。続く2018/02/14
巨峰
30
MM9シリーズと同一世界の番外短篇集。つまり怪獣が普通に生息する平行世界の話。語弊あるかもだけどMM9シリーズより、さらに感動的で質が高いと思う。「生と死のはざまで」「夏と少女と怪獣と」「怪獣神様」「怪獣無法地帯」それぞれディテールがしっかりしていて作者がこの作を精魂込めて築き上げたことが良くわかります。2024/12/30
ソラ
29
本編は知らなくてどうやら外伝的な作品らしいけれどそれでも面白かった。特に良かったのは怪獣神様。2016/05/01