出版社内容情報
あなたの心の水底に落としたもの、さがして差し上げます。
高校生の倫太郎には子供の頃、大好きな《兄》を失った悲しい思い出がある。《兄》の失踪宣告が成立した日、倫太郎は《兄》の好きだった水族館に行き、そこに「海底二万哩」という名のカフェの扉を見つけるが……。
内容説明
僕、来栖倫太郎には大切な思い出がある。それは7年も前から行方がわからない大好きな“大空兄ちゃん”のこと。でも兄ちゃんは見つからないまま、小学生だった僕はもう高校生になってしまった。そんなある日、僕は池袋のサンシャイン水族館で、展示通路に謎の扉を発見する。好奇心にかられて中へ足を踏み入れると、そこはまるで潜水艦のような不思議なカフェ。しかも店主の深海は、なぜか大空兄ちゃんとソックリで…!?
著者等紹介
蒼月海里[アオツキカイリ]
宮城県仙台市で生まれ、千葉県で育ち、現在は東京都内で書店員をしている兼業作家。日本大学理工学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
188
蒼月さんのファンタジックな世界観好きだなあ。カフェの店内が神秘的な感じで、フラッと寄ってみたくなりますね。心の宝物かあ…。いっぱい落としてる気がする(苦笑)。 俺は何を拾ってくれるのかなと考えてしまう。深見、リンちゃん、セバスチャンのトリオがいい。カフェのメニューを食べたくなるけど、駿河湾ソーダのネーミングは微妙だな…。そして、いろいろと深海魚で例える深見。どんな深海魚なのかを、深海魚をスマホで五十ノットで調べてしまう。この神秘的なカフェで読書がしたいな。コミカルで楽しい時間をいただいた物語でした。2021/05/19
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
126
帯のコピーの『ほっこりファンタジー』が作者の世界観を的確に伝えているようだ。埋められない思いを抱えていた高校生が、水族館で謎の扉を発見し、足を踏み入れると海の底の不思議なカフェにつながっていて……。心のピースをなくした人だけが入店できるカフェ。訪れる人のために、心の海に沈んだ宝物を探してあげる3篇の物語とエピローグ。読みやすいし描写も美しい。ただ、この前読んだ『幻想古書店で珈琲を』と展開はそっくり。読メのレビューを読むと、作者の代表作『幽落町おばけ駄菓子屋』に似ているとの声も多い。続けて読むのは辛いかも。2016/03/11
りゅう☆
93
7年前に姿を消した大空兄ちゃん。心の宝物を落とした人しか辿り着けない深海カフェ『海底二万哩』の扉を開けて出会った店主深海は大空兄ちゃんにソックリ。息抜きの必要さ、勇気という宝物。過去の記憶が蘇った時、倫太郎は失った物が何か分かる。宝物を見つけた者はカフェに来れないが続編ありで嬉しい。しかし深海って一体何者?またメンダコのセバスチャンが可愛い。深海魚について未知なんで、その都度スマホでチェック。グロテスクなのもあるけど光の届かない深海だからこその生態に納得。そして『幽落町~』の彼方と奈々也の登場にニンマリ。2018/05/22
ゆみきーにゃ
62
《購入》シリーズ一作目。思ってた内容と違ーう。最後まで読んだけど合わず。次作は読まないかな。2018/07/09
雷華
61
大好きな近所のお兄さんの失踪宣告が確定し、彼の好きだった本をもらい行った先の水族館で見つけた不思議な扉。その先にいたお兄さんと瓜二つの男、深海と出会った主人公が、店を訪れた人たちが捨ててしまった宝物を彼とともに心の海に潜って見つける話。何となく運びが大人も十分読める児童書のようなのりですが、ほんわかとした気持ちになれる一冊。主人公が捨ててしまったものが切なくて辛いけど、最後は光が見え無理ない展開となっていて個人的にはけっこう好きです。深海魚の描写が想像しづらかったですが、心を海に例えるところも好きです→2016/02/08