汝、ふたつの故国に殉ず―台湾で「英雄」となったある日本人の物語

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  • サイズ B6判/ページ数 360p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784041035382
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

門田隆将、渾身の最新作登場!台湾で、その命日が「正義と勇気の日」に制定された日本人がいた――。日本と台湾の絆を表す「英雄」が歩んだ苦難と感動の物語。史上初の「日台」同時発売ノンフィクション!

1895年、ひとりの若者が台湾を目指して故郷・熊本をあとにした。台湾の治安維持と発展に尽くすためである。やがて台湾女性と家庭を築いた彼は、のちに「英雄」と呼ばれる男の子をもうけた。しかし、戦後の台湾の悲劇は、一家を動乱に巻き込んでいく。日本と台湾の“絆”を表わす「5代120年」にわたる壮大な一族の物語――。

「私には大和魂の血が流れている」「台湾人、万歳!」。台湾最大の悲劇となった1947年の「二二八事件」で、そう叫んで、永遠の眠りについた英雄がいた。坂井徳章弁護士(台湾名・湯徳章)である。父親は日本人、母親は台湾人で、生まれながらにして日本と台湾の“絆”を表わす人物である。父を早くに亡くした徳章は、貧困の中、辛酸を舐めながら勉学に励み、ついに当時の最難関国家試験である高等文官司法科と行政科の試験に両方合格する。

帝都・東京から故郷・台南へ帰り、台湾人の人権確立のために活動する中、徳章は国民党政府の「二二八事件」弾圧から台南市民を救うために奔走する。自らの身を犠牲にしながら、多くの市民を助けた徳章は、50年後に忽然と“復活”する。苦難の道を歩んだ台湾と、なぜ今も台湾人が日本と日本人をこれほど愛してくれているのか、その根源を解き明かした感動の歴史ノンフィクション――。

(プロローグより)
私は、蔡英文女史の姿と、歓喜で彼女の勝利を讃えた台湾人たちを見ながら、ここに辿りつくまでの「苦難の歴史」に思いを馳せずにはいられなかった。この勝利がもたらされるまでに、一体、どれほどの犠牲が必要だったのだろうか、と。そして、これまで流されてきた多くの、そして貴重な、血と涙を決して忘れてはいけない、と。勇気、信念、忍従、闘志、正義……先人たちが示しつづけた無形の財産こそ、台湾人の誇りだ。その多くの先人たちの中で、際立った光を放ち、日本人であり、同時に台湾人でもあった「一人の英雄」のことを、私は考えていた。もし、生きていたら、「この日」を彼は、どう迎えただろうか、と。

門田 隆将[カドタ リュウショウ]
1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。ノンフィクション作家として、政治、経済、司法、事件、歴史、スポーツなど幅広い分野で活躍。『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3300日』(新潮文庫)、『太平洋戦争 最後の証言』(第一部?第三部・角川文庫)、『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日』(PHP研究所)、『記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞』『慟哭の海峡』(KADOKAWA)。

内容説明

台湾でその命日が「正義と勇気の日」に制定された日本人がいた―。日本と台湾の絆を表わす英雄が歩んだ苦難と感動の物語。

目次

帰国する「英雄」
ルーツは「熊本」
父の死
マンゴーの里の「ガキ大将」
許せない「台湾人差別」
戦時下の東京
国家試験合格
台南での再出発
騒然とする台南
奮闘と失望
「二二八事件」勃発
「弾圧」か、「民主化」か
逮捕と拷問
「台湾人、万歳!」
正義と勇気の日

著者等紹介

門田隆将[カドタリュウショウ]
1958(昭和33)年、高知県生まれ。中央大学法学部卒。ノンフィクション作家として、政治、司法、事件、歴史、スポーツなど幅広い分野で活躍している。『この命、義に捧ぐ台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(角川文庫)で第19回山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

89
はじめにを読んで難しそうだ・・と。でも数日かかるも、ページは最後まで捲った。一人の男の生き様を見せられたんだ。どうだ、今を生きる日本人よと問われている気がした。『坂井徳章』さん!台湾名は『湯徳章』氏!自分の死(処刑)が台湾の未来の礎となるかもしれないと、たった一人死んでいった漢。日本の統治下から彼の大国に呑み込まれ、今まだ台湾が台湾だとは言えない国に、ふたつの祖国を持つ徳章さんの想いが脈々と連なっていた事が胸を打つ。私にはやはり難しくはあったけれど最後はちょっと胸が熱くなって2016年の読み納めとなった。2016/12/31

keiトモニ

47
連れが何を思ったか投げ出した本であるのに、涙しました。“新たな支配者として蒋介石達がやって来ると言うのである…なぜ日本本土と同じ米軍の統治ではないのか。徳章は内地人と本島人が一緒になって築き上げてきた道徳・秩序・規律という社会の根本が崩されていくことを危惧したのである”☚やはり大陸中国人は古来から嘘つき凶暴残虐性、騙し等の資質なんですよ。“正義と勇気、湯徳章を表すのにこれ以上の相応しい言葉はない。自らの命を捨ててまで、人々の命を救った男。死に臨んで「大和魂」と「台湾人万歳!」と叫んだ男”☜嗚呼感動します。2017/07/04

AICHAN

37
図書館本。日本の植民地だった台湾は太平洋戦争後に日本の統治から外れた。中国本土から蒋介石の国民党軍が台湾に進駐するが、国民党は日本に代わって台湾を植民地にしたようなものだった。国民党は日本人に代わって政府や官庁の要職に就き、杜撰な政府運営を始め行政機能が麻痺した。物価は高騰しインフレになり、台湾人の怒りが爆発する。国民党政府と台湾人との間の橋渡し役になろうとして逮捕され銃殺された男がいる。それがこの本の主人公。日本と台湾のハーフだ。日本名は坂井徳章、台湾名は湯徳章。台湾史の英雄である。2017/03/16

金吾

31
◎湯徳章という人を知りませんでしたが、この本を読んで人間として誇りに感ずるとともに、ここまで人として強いことに感動しました。信念のすごさと日台両方の将来への想いを感じました。最期の言葉は衝撃的です。2020/12/31

ひさしぶり

24
「台湾人と日本精神」は読んでいたものの二二八事件の詳細さらに日本人と台湾人の血をひく坂井(湯)徳章という人の生きざまを知ることで台湾が背負ってきた近代史がみえる。大和魂の血が流れている(台湾語で)台湾人バンザイ(日本語で)と叫んで非業の死を遂げた彼の評価が時代によって変わる。犬の支配から豚の支配を受けた台湾。重大事件の発端はいつもボタンの掛け違い。香港も台湾も民主化が後ろ向きに進んでいって欲しくないなぁ。2020/01/03

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