出版社内容情報
黒木 あるじ[クロキ アルジ]
著・文・その他
内容説明
怪談とは、その土地が持つ記憶の断片なのかもしれない―。北海道のトンネル内で友人が叫んだ言葉の意味。福井県沿岸に浮かぶ島の神社へ不埒な目的で立ち入ったカップルの末路。滋賀県の琵琶湖付近に突如出現した巨大な建造物。愛媛県の放蕩息子が道を踏み外さなかった理由。沖縄で生まれ育った祖父の法要中に起きた怪異を収束させた物。全国47都道府県で収穫した怪談実話を産地直送でお届けする、世にも奇妙な見本市!
目次
ほとばしる―北海道
夜の調弦―青森県
うたごえふる―秋田県
行かずじまい―岩手県
Y橋奇譚―宮城県
ざわめき―福島県
消失―山形県
狸三題―新潟県
おまもり―富山県
坂の怪群―石川県〔ほか〕
著者等紹介
黒木あるじ[クロキアルジ]
1976年、青森県生まれ。2009年に第1回『幽』怪談実話コンテストでブンまわし賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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夢追人009
184
黒木あるじさん人気シリーズご当地怪談の2冊目ですね。「恐怖大物産展」という副題は少しオーバーかなとは思いますが、黒木さんの怪談はとにかく安心して読めて必ずや大満足させてくれますね。今回も最初に私の住む奈良県の話からです。『ガールズトーク』宮地さんが数年前に奈良市内のファストフード店で食事していた時に偶然耳にした隣席の女子大生二人組がしていた奇妙な話。うちの学校の裏手にちっさい丘あるやろ、あれな、祟りの丘らしいよ。クサカベ君な、夜中にあそこの道を自転車引っぱりながら帰ってたんやて。あの人ってタバコ吸うねん。2021/03/28
はつばあば
66
古希の読み友さんが「読みたい」本に登録されていた。言われるだけあって、怖い・切ない・愛溢れる諫め・・上は北海道からお終いは沖縄までの、それこそ47都道府県からお取り寄せしたような逸品物。関西人ですからやっぱり地元に近い大津のお化けビル、山科から京に行くトンネルの譚、そうそう当時そんな話聞いてたよなぁって。怪談物って古い話ばかりじゃないところが怖い。平成27年度の初版。もしかして・・あなたも経験するかも。だって実話だもの。・・私は残りわずかの人生だもの・・避けて通りたいわ。2017/07/04
HANA
63
実話怪談集。各県一話づつの収録二冊目。今回も地域密着型の怪談が多く、非常に満足出来た。舞台となった地域や出来事の注釈も痒い所に手の届く出来。というか自分の県にこんな所があるの、今まで知らなかったんだけど。隣の県にそういう食べ物があるって事も。こういう地域密着というか土俗的な実話怪談をものに出来るのって、著者だけみたいな気がする。東北の地霊的なものを描くのは以前から上手かったが、それが全国に拡大したような感じで。日本はかくも多様性に溢れ、それが土俗的なものと一体になっているという事を再確認させてくれました。2015/10/02
モモ
54
日本全国47都道府県の怪談の続編。行ったことがある場所の近くに怖い話があったりして、今さらながら知らなくて良かったと感じた。前回よりも怖さが増したような。全国津々浦々けっこう知ってる場所があったので、そこには近づかないでおこうと秘かに心に誓った。2020/08/05
キンモクセイ
46
怖さよりは、その土地その土地に伝えてられている話が興味深い。ご当地詰め合わせパックみたいでお得な怪談。神社やお寺でバチあたりなことをしたら、そりゃあ怒られるよ。神さまはちゃんと見ているんだよね。茨城県の話は若い特攻隊員たちが出てきた話。怖さよりも切ないなぁ。「雄翔館」に行ってみたい。彼らは青春を国のために躊躇いもなく投げ出した。その歴史があるから今の私たちがいることを確認したいし感謝したい。京都の話は、あの超有名なトンネルではなく、もう1つの方が本命らしい。これは知らなかった。2020/05/30