出版社内容情報
夏休み、学校、そして殺人。本格ミステリの爆弾、ついに文庫化!
夏休みの映画撮影。撮影中キャストの女子高生が突如倒れ込む。その生徒の胸には深々とクロスボウが突き刺さっていた!? “かわいすぎる名探偵”樋口真由が卓越した推理力で、隠されたお驚きの真相に迫る!
内容説明
都筑台高校2年生にして弱小映研部長の遊佐渉は、気鋭の映像作家・真壁梓が夏休みに企画した撮影合宿に参加することに。しかし、キャストの女子生徒が突然倒れ込む。なんとその胸にはクロスボウの矢が深々と突き刺さっていた。セミドキュメンタリーの撮影現場で起こる虚構の殺人が、いつしか本物の惨劇へ。交錯する思惑、驚愕のトリック、慟哭の真実。“美少女”探偵・樋口真由が、難攻不落のクローズド・サークルに挑む!
著者等紹介
長沢樹[ナガサワイツキ]
新潟県生まれ。2011年第31回横溝正史ミステリ大賞“大賞”を、『消失グラデーション』で受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
284
ロケハン設定で作中作という発想は非常に面白い。リアルタイムで人物が動くことで、作中作が陥りやすい失敗を回避出来ている。反面、色々やろうとし過ぎて、纏まりがなくなった印象も強い。真壁側の背景と、美鈴側の背景がテーマのもとに上手く収束していないこと、もしくはソレをものともしない仕掛けを用意出来なかったことが痛いところ。読者には、登場人物には伏せられているカードが早くから呈示されているので、どこか違う角度からカウンターを喰らわせて欲しい。ただ、モヤモヤした厨二世界観とミステリの融合はしっかり為されていて面白い。2018/02/04
セウテス
76
【樋口真由シリーズ】第2弾。シリーズ物の設定として、第2弾が前作の前の物語という事に少し違和感がある。時系列順の本作から前作、この順番で読む方が良いのではないか、順番を代えた理由が解らない。パースペクティブが背景とすると、何がおきているのかというWhatが、ミステリの謎解きの重点という事だろう。シリーズの特徴として、何かの誤認と消失が存在すると理解して推理すると良いと思う。物語最初に描かれている過去に起きた監禁殺人事件が、隠された生還者の現在へと繋がっていくのだが、流石に全てを明らかにする事は難しかった。2021/08/07
takaC
69
『冬空トランス』と間違えた!そして夏服は単行本を読んで消化不良だったことを思い出した・・・2016/03/05
papako
65
なんと長く積んでいたことか!樋口真由シリーズと言っていいのか。『消失』の内容がかなりあやふやな状態で読みましたが、なんとか追いかけられました。やはり厨二な文章だと思いつつ、お風呂本の割には早く読めた。こういう高校生たち、やだな。なんか上から目線だし。なんで面白く読めたのかわからないけど、楽しみました。ラストの『冬服』はどうしようかな。別にいっかな。2018/04/18
Bugsy Malone
56
"樋口真由を敵に回してはいけない"見開きのこの言葉で思わずにやにやしてしまった本書は 「消失グラデーション」に続く樋口真由シリーズの2作目。時系列的には「消失」の前の事件となっている。「消失」程の鮮烈な衝撃は無かったものの、青春小説の趣のある作風は前作同様魅力的だった。実際、事件が起きるのは終盤に入ってからなのだが、それ以前のセミドキュメンタリーの撮影過程が非常に面白かった。登場人物も良く、音楽ユニットのHALなどはスピンオフしてもらいたいくらい。2017/01/03