出版社内容情報
芥川 龍之介[アクタガワ リュウノスケ]
著・文・その他
天野 喜孝[アマノ ヨシタカ]
イラスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
48
10年間の軌跡が詰まっているのですね。難しくて暗い作品が多い印象を受けました。死後発表された『河童』は風刺であり自嘲的景色でもあるのが自らを皮肉っていると言えるでしょう。芥川は常に自らを皮肉の象徴にしていたのかもしれません。2023/03/20
優希
43
芥川の10年間の奇跡がおさめられています。陰鬱で重いのですが、そこに惹かれました。読んでいて、芥川自身を読んでいる気分になります。病んでいる精神から生きることに絶望していたように思えてなりません。2025/11/10
yumiha
33
読んでいなかった『河童』。河童社会も人間社会も悩ましいのは同じ?「お前はこの世界へ生れてくるかどうかよく考えて返事しろ」という出産の場面は、『夏物語』(川上未映子)の先行場面か?「莫迦な嫉妬深い卑猥な図々しいうぬ惚れきった残酷な虫のいい動物」こそ人間で、同じものが自分も持ち合わせていることに芥川も苦悩したことだらふ。『大導寺信輔の半生』には、12歳の信輔が初めて帝国図書館へ訪れたおののきが書かれていて『夢みる帝国図書館』(中野京子)を思い出した。『戯作三昧』では馬琴を通して物書きとしての苦悩を読み取った。2020/04/24
朱音
20
私にとって芥川とは「学校で読まされて」「感想文書かされる」ものだった。「教科書に載るような人」なので強く正しいのに違いないと。それがこの「河童」ではどうだ。生まれてきたくはないと言い、言葉によって病んで死んでしまうほど繊細でか弱いではないか。河童の世界にいても自らの世界へ戻っても結局居所は無く、河童の世界へ「帰りたい」と思う。そこまで病んでいる精神を、芥川はなぜ描いたのか。それは彼もまた病んでいたからであり生きることに絶望していたからかもしれない。2009/07/24
矢代
7
なんと言うか、初読のときは余り何も感じなかったのですが「或日の大石蔵之助」「戯作三昧」「開化の殺人」「開化の良人」「大導寺信輔の半生」「玄鶴山房」「蜃気楼」「河童」この編集が、まァ、巧みですよね。芥川龍之介自身を読んでるような錯覚が起こるのは私の思い違いかとも思いましたが解説読んで当たらずも遠からずで、流れで読むと「河童」苦痛です。蔵之助の虚しさと、馬琴の情熱と蜃気楼の曖昧さと河童の滑稽さ。しかし「戯作三昧」はよい。最後の孫との会話が凄くいい。身につまされる感じです。2015/04/01




