出版社内容情報
14歳のあすかのヴァイオリンに隠された数奇な運命。強制収容所の音楽隊員として生き抜いた少女・ハンナ。家族、仲間、音楽のすばらしさを高らかに歌い上げた感動の名作。第60回全国読書感想文コンクール課題図書
内容説明
14歳のあすかは楽器店で不思議な音色を奏でるヴァイオリンに出会う。それはアウシュヴィッツの強制収容所で音楽隊だったユダヤ人の少女・ハンナが持っていたものだった。どんなに過酷な状況下でも仲間を思いやり、音楽への情熱を忘れなかったハンナ。ハンナの思いは日本のあすかにも届き…。戦火をくぐり、数奇な運命に翻弄された一丁のヴァイオリンが生み出す感動の物語。第60回青少年読書感想文全国コンクール課題図書。
著者等紹介
香川宜子[カガワヨシコ]
徳島市生まれ。内科医師、小説家。1999年より執筆活動をはじめ、教育雑誌、医学雑誌などの長期連載、ラジオドラマ脚本など多岐にわたる。2013年『アヴェ・マリアのヴァイオリン』(KADOKAWA)で小説家デビュー。14年、同作品が第60回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選定される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむー
84
あらすじと帯だけ見たときにはアウシュヴィッツを題材にした背景からのファンタジー的展開かと思っていたけれど、むしろアウシュヴィッツの悲惨さという事実を伝える作品でした。『たいへんよくできました』。徳島に住む14歳の少女あすかは幼少期から続けてきたヴァイオリンで生きてゆくか迷う中一挺のヴァイオリンと出会う、それは二次大戦中アウシュヴィッツであすかと同い年の少女が弾いていたものだった。音楽のちからによって心を揺さぶられる一方で、戦争という狂気の檻に囚われたひとびとの姿に考えさせられる。ぜひとも読むべき一冊。2015/07/11
ふじさん
75
思わぬ拾い物の一冊。14歳のあすかが出会ったヴァイオリン、それはアウシュヴィッツ強収容所の音楽隊だったユダヤ人少女ハンナが持っていたものだった。過酷な状況を生き抜いたハンナの思いがあすかに届くことに。数奇な運命に翻弄された一丁のヴァイオリンが生み出す感動も物語。音楽の持つ不変の力や文化的な意義を改めて実感した。第60回青少年読書感想文全国コンクールの課題図書。老若男女問わず読んでほしい冊だ。 2021/03/07
ちょこまーぶる
56
熱く心が震える一冊でした。アウシュビッツの強制収容所の音楽隊にいた少女のバイオリンが巡り巡って日本の14歳の少女が出会うまでの話ですが、そのバイオリンを所持していたハンナに訪れる数々の辛い運命と共に彼女の命を守り続けたバイオリンの話には、涙を堪えながら文章を追って行くことで普段は味わうことの無いような感情を経験しました。そして、ふたたびアウシュビッツに奏でる「アベェ・マリア」がどんなに素晴らしい演奏だったことかと想像するだけど、その音色が聴こえてきそうな感じがします。2021/03/11
Pure
41
高校の読書感想文課題図書に選定された本ですが、小中学生にお勧めしたい。坂東俘虜収容所のことは初めて知りました。最後を電車内で読んで、花粉症にやられました^^;。戦争ってなんだろう。アウシュビッツ収容所が非人道的で、前線での戦闘は非人道的でないのか?戦闘員の命と非戦闘員の命。何か違うのか?2017/02/22
菜穂子
35
中学生あすかの元に来た、ヴァイオリンのかつての持ち主は戦時下、アウシュビッツの強制収容所に送られた、ユダヤ人一家の少女ハンナのものだった。音楽を奏でることで、命の危機から逃れ、魂の救いを見出し、生きる希望を必死で掴もうとするが、あまりに過酷で、人間の尊厳から逸脱した環境に、何度も涙が溢れた。唯一、第一次世界大戦でドイツ人捕虜が日本の坂東での人道的配慮、土地の人々との交流の場面が救いだった。2016/09/08
-
- 電子書籍
- 神竜帝国のドラゴンテイマー【分冊版】(…