出版社内容情報
ノンフィクション作家である著者には、日常的に霊や不思議なものが視えてしまう。雑踏を匍匐前進する青年兵、生首の髪を切る美容室、深夜に階段を上がる衣擦れの音…じんわり怖くて、味わい深い怪談実話エッセイ第2
内容説明
死霊と生霊、はたしてどちらが怖いのだろうか…?生首の髪の毛を切っている美容院、ひそやかに階段を上がって来る衣ずれの音、通り抜けられないはずの袋小路に歩き去って行く人々―。不思議なモノが視えてしまうノンフィクション作家がつづる、ひんやり怖くて、じんわり温かい怪談実話エッセイ。小泉八雲をめぐる、作家・山田太一氏との対談と13話を収録。
目次
生霊はやっぱり怖い
変な人たちがいる街
真夏に起きた不思議な話
眼を合わせてはいけない人たち
真冬の朝顔
時計だって嫉妬する
五カ月だけ住んだ家
なぜ着物なのですか?
会いたかったわ貞子さん
ヨシエさんの霊感
子供たちからのメッセージ
殺ス人ガイルカラ殺サレル
怖い顔の話
突き詰めていけば、人はみな幽霊なのだ(山田太一×工藤美代子 対談)
著者等紹介
工藤美代子[クドウミヨコ]
1950年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。チェコスロヴァキアのカレル大学留学を経てカナダに移住、コロンビア・カレッジ卒業。91年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
104
雑踏の歩道の上を匍匐前進する青年。深夜に階段を上ってくる着物の衣擦れの音。生首の髪の毛を切っている美容院。著者は、霊や不思議なものが視えてしまうそうです。怖く書こうと思えばいくらでも怖くかける状況を、日常の暮らしの一部のようにさらっと書いたエッセイです。でも、そのさらっと書いた内容を想像すると、じわーと怖さが背骨を這い上がってきます。なかなかに怖いエッセイです。著者はそんな怪異をさらっと受け入れているようで、恐がりな私から見ればそんな怪異を受け入れた暮らしに驚愕、驚嘆するしかないのです。2020/06/22
ででんでん
79
「眼を合わせてはいけない人たち」が怖い。工藤さんはとても鋭い霊感があるのだと思うが、その怪異を怪異だととっさには思わない(何ヵ月続いても思わない)という部分の鈍感さが、私にそっくりだと共感できた❗きっと私が同じ部屋を借りても何も見えないんだろうけれど。実際に仕事場の机と窓の写真が載っていて怖い。そういう人たちは、ずっとそこにいるのか、真っ昼間に太陽のもとに出てくるのか、それとも窓ガラス越しというところに秘密があるのか…など不思議。迂闊な私だが「顔に何か不快な表情が浮かんでいる人は極力避けて見ない」ように。2018/09/01
神城冥†
62
今回も作者が選りすぐった話が多い。特に「真夏に起きた不思議な話」と「眼を合わせてはいけない人たち」が面白かった。2017/09/12
ゆみきーにゃ
52
《図書館》続けて工藤さん。怖いと言うより不思議なお話。洗濯物を干さないことに一番衝撃受けた。2016/08/16
p.ntsk
49
工藤さんの実話怪談もの。といっても家族や身内の話題を中心にした心霊エッセイという感じです。心霊度はそんなに高くなくちょっと奇妙なお話が多かった気がします。工藤さん自身が心霊やあの世の存在をあるものとして受け入れているので日常の景色に溶け込んでしまっていてあまりオドロオドロしい感じはしません。普通のホラー的な怖さを期待するとガッカリします(笑)ただ工藤さんだからそう感じるのであって現象そのものを客観的に考えたら怖いと思います。怪異現象をどう捉え受け止めるかによって反応は変わってくるのかなと思います。 2016/09/30