内容説明
谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』は、あらゆるデザイナーにとってかけがえのない教科書だった。バイブルだった。ところが、あらためて読み返して、工業デザイン、プロダクトデザインに正面から襲いかかる槍のようなエッセイでもあった。何が良いか美しいか、ではなく、何が邪魔か、見苦しいか、使いにくいか、をデザイナーに問いかける、負から発して心地よさに到る道をさがす教科書だった。現在の日本人の生活の西欧化、その衣食住から言語まで、思想から立ち居振る舞いまで、あらゆる面で和からの脱却を図った明治、大正、昭和のモダンと付きあった谷崎潤一郎、そして友人だった夏目漱石や森鴎外ら文豪達の作品を通して、デザイナーに何が必要かを問いただしてみよう。
目次
モダンとの戦い:福澤、鴎外、夏目、谷崎、芥川
プロダクトデザイナー谷崎
谷崎潤一郎がデザインした電気暖房
カタカナで持ち帰ったモダン
非日常の理論:暗さゆえの美
谷崎の皮膚感覚とスマホ:ハプティクスは今
谷崎:触覚のデザイン
『陰翳礼讃』モダンデザイン批判。建築と向き合った文豪
モダンデザインへの問いかけ
谷崎はケチだった
四人の文豪の洋と和
大正時代の知識人の寵児ウイリアム・モリス
混乱がなかった和洋折衷
著者等紹介
竹原あき子[タケハラアキコ]
1940年静岡県浜松市笠井町生まれ。工業デザイナー。1964年千葉大学工学部工業意匠学科卒業。1964年キャノンカメラ株式会社デザイン課勤務。1968年フランス政府給費留学生として渡仏。1968年フランス、Ecole nationalesuperieure des Arts D´ecoratifs。1969年パリ、Thecnesデザイン事務所勤務。1970年フランス、パリInstitut d’Environnement。1972年フランス、EcolePraique des Hauntes Etudes。現在:和光大学名誉教授、元:長岡造形大学、愛知芸術大学、非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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