出版社内容情報
「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は、青天の霹靂のような衝撃となって江戸城を駆け抜けた。しかし、実態の江戸城中・松の廊下の刃傷事件の背後には、冷酷無比な罠が張り巡らされており――。
内容説明
「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は江戸中を駆け抜けた。将軍綱吉の裁決は、「内匠頭切腹。吉良お構いなし」。この偏裁に浅野家中の遺恨は集まり、大石内蔵助は復讐の刃を幕府の覇権に向けていく。しかし、刃傷沙汰のはるか前、事件を導く罠は静かに張り巡らされていた―。綱吉の側用人・柳沢吉保、上杉家の江戸家老・色部又四郎、赤穂藩浅野家の家老・内蔵助。卓越した3者による権謀術数が渦巻く、忠臣蔵の真実とは!?
著者等紹介
森村誠一[モリムラセイイチ]
1933年熊谷市生まれ。青山学院大学卒。10年に及ぶホテルマン生活を経て作家となる。江戸川乱歩賞・日本推理作家協会賞・角川小説賞・日本ミステリー文学大賞・吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
48
忠臣蔵って、なんで日本人皆好きなのかな、と理解したくて読み始め、浅野内匠頭、ちょっとどうよ??上に立つ人じゃないわっと思っていたら、森村誠一さんはそのスタンスでの描写で良い感じ。吉良上野介、いつも悪役にされてるけど良い人じゃない?後半、四十七士のそれぞれの人生描かれていて、武士の前に一人の人間としての人間らしさが描かれていて、それもいい。柳沢が策士すぎる。大内蔵之介が若い女を囲って子供作ってって、何やってんだか。巻末の短編は、なんで入れたのかな、、。いよいよ赤穂事件の下巻。2024/12/29
ちゃま坊
17
忠臣蔵にはずっと不満があった。吉良上野介の悪役に疑問があるからだ。意地悪をしたのは悪い。しかし殿中で切られ、最後は殺害され首までとられた。被害者と言える。その後の世論はずっと赤穂浪士の味方だ。本当の悪ははたして誰だったのか。吉良の視点から描く忠臣蔵があってもいい。2021/03/02
たくのみ
10
吉良側が悪玉ではなく、どちらも犠牲者なのだ。松の廊下の刃傷は、柳沢吉保と将軍綱吉によって仕組まれた謀略。上杉・浅野という大藩粛清のエサでしかない、殖産で自藩を潤した内匠頭と名君だった上野介がぶつかり合い、関係のない臣下達が集団的自衛権のごとく傷つけあう。権力の恐ろしさと運命に翻弄されるところが読みどころ。でも、大石内蔵助の祇園での佯狂ぶりが具体的過ぎて少し引いちゃいます。2015/06/07
miyatatsu
7
結果だけしか知らなかったのでこれを気に知ることができるのは本当に楽しみでわくわくしながら読むことが出来ました。2018/07/06
BIN
5
吉良側から見た忠臣蔵です。初っ端は颯爽とした吉良上野介ですが、本当の序盤だけです。柳沢吉保の策謀により浅野内匠頭からの吉良への賄賂なし(鰹節のみ)で、いつ賄賂くるかな、鰹節の中に仕込んでるかもとうきうきしながら確認してるのは微笑ましかった。吉良邸内の吉良直臣VS上杉家臣の対立などが描かれているのがよかった。柳沢も色部又四郎も展開を読みすぎていて、大石の行動がモロバレですな。2022/12/23
-
- 和書
- 陰陽師鉄輪 文春文庫