出版社内容情報
不老不死が実現した日本。しかし、法律により百年後に死ななければならない――西暦2048年。百年の生と引き替えに、不老処置を受けた人々の100年目の死の強制が目前に迫っていた。その時人々の選択は――!?
内容説明
不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て死ななければならない―国力増大を目的とした「百年法」が成立した日本に、最初の百年目が訪れようとしていた。処置を施され、外見は若いままの母親は「強制の死」の前夜、最愛の息子との別れを惜しみ、官僚は葛藤を胸に責務をこなし、政治家は思惑のため暗躍し、テロリストは力で理想の世界を目指す…。来るべき時代と翻弄される人間を描く、衝撃のエンターテインメント!
著者等紹介
山田宗樹[ヤマダムネキ]
1965年愛知県生まれ。98年に『直線の死角』で、第18回横溝正史賞を受賞。2003年に発表した『嫌われ松子の一生』は、映画、テレビと映像化され、大ヒット作となる。2013年、本作で第66回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
386
何これおもしろい!自分の今年1位かも。「死」という一貫したテーマで、政治・警察・一般人・テロリストなどの要素の考えが各要素に絡み合って繋がり、自分だったらどうか、と揺さぶられ考えさせられる。「老い」がないのはいいけど「死」がないのは、死ぬまでは頑張ろう、と期限が無くて、ダラダラ過ごしそうで個人的には嫌。こんな近未来、リアル。「「母はHAVIそのものに、嫌悪感を持っていたみたいです。老いて衰えて死んでいく。人間の身体がそういうふうにできているってことは、そこになにか意味があるはずだって、よくいってました」」2021/01/08
青乃108号
292
人間が老いる事なく100年生存出来る様になった日本で、100年を超えた時点でその者は人権を失い、処置、即ち死ななければならないと定める100年法を巡り政治、医療、貧困、そしてテロなどあれやらこれやら描かれ退屈しない。処置を受けるセンターの様子も詳細に描かれるがあくまで淡々とした筆致で。政治の分野では大統領制が敷かれ、独裁体制となってしまった中で、クーデターを狙う動きも現れ、医療面では原因不明の多臓器同時発ガンが問題視され、テロ組織の存在が明らかになり…ようやく半分。ちょっと気が遠くなってきたんだけど。2024/01/08
にいにい
151
初山田宗樹さん。タイトルから、何故か宗教の本だと思い込んでいたため、文庫になってから初めて手に取った。何でだろう法を法律の法だと思わなかった。こんな面白い本を見逃すとは、、、、。老化しない方法が出来たという想定がいい!それにより社会が、政治が、人生が、どう変わるかのシュミュレーション。国際関係の取り込みが弱いと感じたが、それ以外は、凄く面白い。生は、死があることで意味がある。それを、この不老が前提になった世界でどう扱うのか?下巻も楽しみ。2015/04/10
ケイ
140
読友さんに紹介頂いた本。高齢化社会に対して医学の進歩を用いて100年の若さを手に入れられる百年法。誰しもその時は100年なんて半永久みたいに思えるのじゃないかしら。疑問とか矛盾とかチラつく暇なく上巻終了。感想は下巻へ。2019/11/12
インド
138
100冊まであと7冊!大戦後不老不死社会を実現した日本共和国。しかし円滑な世代交代のために、国民は手術を受けてから100年後に死ななければならない。この百年法を巡る物語は様々なアクターの視点から描かれており、百年法を肯定するものと反対する者、それぞれの葛藤が盛り込まれていて、とてもハラハラする。百年法による親子の別れのシーンは心に響いた。永遠に生かされることは、人間として一番過酷なことかもしれないなー。そして、国民はどのような決断を下すのか? 政治家・官僚・テロリストの思惑が交差する物語は次のステージへ!2017/03/04