感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
13
現在では様々な現代語訳がラインナップされており、与謝野晶子による本訳の優位性は必ずしも選択肢が少なかった時代ほどではないかもしれないが、個人的には読みやすかった。現在では五分冊になっているこの全訳だが、三分冊時代の下巻にあたる本巻には光源氏亡き後の次世代の貴公子達を描いた第三部(含む宇治十帖)がちょうど丸ごと、しかも600ページ強というコンパクトなボリュームに訳されており、独自のアレンジは殆どなく、読みやすい現代語で純粋なオリジナルの世界を堪能出来た印象。(所々は原文と見比べながら確認したが解像度高し。)2023/10/18
いりあ
6
平安時代中期に成立した紫式部による物語。本作は与謝野晶子が現代語訳したもので、全54帖のうち匂宮から夢浮橋まで収録。宇治十帖を含む源氏の息子である薫の物語です。恋愛に積極的だった源氏と違い、ちょっと奥手な薫が色々と悩んでいる姿が印象的。本作は、現在のサブカルも含めヒロイン像のほぼ全ての形がここに集約されているのではないかと思うほど、バラエティに富んでいます。推しキャラを探すのも面白いかな。まずは最後まで読み切れたことを祝いたい。そして本作は多くの訳者版がありますが、個人的には与謝野晶子版をおすすめします。2020/05/10
ダイキ
3
「明けくれに昔こひしきこころもて生くる世もまたゆめのうきはし」〈「夢の浮橋」巻頭歌/與謝野晶子〉2017/03/31
レコバ
1
大変読むのに苦労した。流麗な表現、構想力、叙情豊かな和歌、この物語が評価される一端くらいは理解できたかな。2014/01/10
kuboji
1
薫、匂宮、浮舟の話。源氏とは全然ちがう草食男子的な薫が主人公だから、これまでとは展開の仕方もちがう。薫も源氏も、良くも悪くも好きな人に似た女性に惹かれすぎ。「浮舟」以降がおもしろい。特に印象に残ったののは薫と浮舟がそれぞれに思いつめているシーンや、物語を締めくくる「夢の浮橋」の最後。「ああ、こういう終わり方なのか」と思って、結局この物語で幸せになった人って誰なんだろうと思った。2013/08/23