出版社内容情報
死者の魂を送る「ツゲサン」を継いだ柊一。京都の大学生、沙織。凶悪事件の容疑者として警察につきまとわれる誠。三人の人生に東南アジアで発生した脅威の感染症が影を投げ、そして異界の扉が開くときが訪れる。
内容説明
両親を亡くし天涯孤独となった柊一は、高校入学を辞退し奥深い集落で一人暮らしていた。しかし彼は父から継いだある使命のために、集落の住民から避けられていた。「ツゲサン」。それは死後の世界と現世との中間をさ迷う死者に会いに行き、この世との別れを宣告する仕事だった。いっぽう、京都の大学生・沙織は、父親から、コレラ感染が疑われる病人が出たために、到着した関西空港で足止めされるという連絡を受ける。その頃、集落に住む誠は地区の神社のご神体にまつわる不思議な噂を耳にしていた。東南アジアで発生した脅威の感染症、三つの人生を繋ぐ謎の男、そして異界の扉が開く時が訪れる―。『長い腕』の著者が挑む伝奇パニック・サスペンス!
著者等紹介
川崎草志[カワサキソウシ]
1961年愛媛県生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。セガ・エンタープライゼス、バーチャルゲームセンターなど、ゲーム制作会社に勤務し、『長い腕』で第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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RIN
37
『疫神』の続編?らしい。『疫神』はなんだか中途半端に置き去りにされたような気分で読了したのだが、本作を読んで、これは何部作かの第1、第2作なんだと思えば今後の展開が楽しみに。今はバラバラの点のような出来事と関係者が、バラバラに(笑)語られているが、これはきっとこれから続く物語で次第に収束していくのだろう(と、希望と期待を込めて)。2016/10/05
あっちゃん
26
パニックもの、と言うには地味な感じだけど、私的にはこの中途半端さ加減が好き(笑)疫神も読んでるけど、別に読んでなくても差し障りは無いと思うけど!こういう雰囲気好きなので、また出して欲しい!2016/12/14
鷺@みんさー
18
うーん。なんかもったいない。長野の山奥で、死者に死を告げる「ツゲサン」というイタコのような役割をする少年、ベトナムの奥地で突然死と死体がドロドロに溶けるという奇妙な疫病。さらに京都で何か不吉な予感を感じる女子大生に、「ヒトの終焉」というトンデモな予言書を書いた元教授。それらがどう絡むのかとワクワクで読んだら、最初展開がゆっくりだなぁ、残りのページ数でどうたたむんだ?と思ってたら案の定、「色々伏線が気になるね!ではまた!」みたいなところで終わってしまった。2017/04/14
遊々亭おさる
18
あの世とこの世の中継地点で死者の魂を送る『ツゲサン』を継いだ少年と、海外渡航先でコレラ発生により空港で足止めをされた父に気を揉む女子大学生、そして斜陽産業で働きながら幼い息子との生活の幸せを噛みしめる男、それぞれに違う人生を生きる三人の運命が交差した時、人類滅亡の危機が忍び寄る…。あちらこちらに謎が取り残されたまま誰も報われることなく幕は閉じられる。次作での展開が気になるが、疫病封じのために封鎖した村を包囲するのが銃を携帯した軍って時代設定がよく分からん。でも半村良以来の伝奇ミステリの書き手の次作も期待。2015/09/23
うめ
17
またしても壮大なプロローグで終わった。どっちかに絞った方がすっきりするのでは。2019/02/04