内容説明
11年間を共に過ごしてきた愛犬マージの胸にしこりが見つかった。一部大型犬に好発する癌。有効な治療法はない。余命は3ヶ月。マージにとって最後になるかもしれない夏を酷暑の東京で過ごさせるわけにはいかない。作家・馳星周は、この夏を軽井沢で過ごすことに決めた―。マージが永遠の眠りにつくまでの94日間を綴った愛と感動のノンフィクション。新たな愛犬たちを迎えた馳家のその後を綴った「文庫版あとがき」も収録。
目次
バーニーズ・マウンテン・ドッグ(ベルナー、ゼネンフント)
悪性組織球症(腫)
7月15日~10月16日
その後…
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年、北海道生まれ。横浜市立大学文理学部卒業。96年、『不夜城』で衝撃的なデビューを飾る。翌年、同作品で第18回吉川英治文学新人賞を、98年、『鎮魂歌―不夜城2』で第51回日本推理作家協会賞を、99年、『漂流街』で第1回大藪春彦賞を受賞。ロマン・ノワールの旗手として数々の作品を発表し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
89
馳星周さんが11年間をともに過ごした、愛犬マージとの最期の94日を綴った実話の物語です。「マージから多くのことを学んだ」と馳さんは述懐する。或る日、マージに「癌」が見つかりました。飼い主の馳さんは、マージのために軽井沢へ転居を決めます。東京にいるころは、筋力が落ちてヨチヨチ歩きだったマージが、てってけと歩きはじめます。見違えるように元気になっていきました。…読みながら、幾たびも胸がじんと熱くなります。犬好きには堪らない感動の物語でした。2022/07/18
ちゃとら
57
直木賞を受賞して知った作家。彼が初めて飼ったバーニーズ・マウンテン・ドッグ🐶のマージが11歳で虹の橋に🌈旅立った話し。この犬種に奇形が多い事、悪性組織球症という遺伝的な病を持ち短命だという事を初めて知った。犬たちのストレスを考慮して軽井沢に家を買い、食事にはマトンや馬肉、羊の心臓などの肉を欠かさず、治療にはホメオパシーなども用いていた。並の経済力ではとても飼えない犬。悪化していく病状に一喜一憂し安楽死も考える。己のエゴかもしれないが正解はわからない。腕の中で旅立ったニャン🐈を思い出し辛かった。2022/05/09
ぶんこ
48
バーニーズ・マウンテン・ドッグという犬種のメス11歳のマージが、遺伝ともいえる癌を患い、献身の看護をした著者の約3ヶ月間が綴られていました。ところどころ「これは何?」という場面があり、『イネイトのペンダント』『ラジオフライヤー』『ケーナインヘルス』などを検索。著者のマージ愛の強さが伝わってくることばかり。ペンダントをクルクル回すと病気が改善される?思うところはあるけれど、愛する犬のために、良かれと思う事を信じて取り入れているのには感服。これ以上はないというところまで看取ってもらえたマージ、よかったね。2022/08/01
優希
48
自分も犬を飼っていた経験があるので、凄く共感しました。同時に最期を看取ったことを思い出します。2022/02/27
えみ
44
一つの命を看取る。切なくて悲しくて、本を開いたら最後の一頁まで涙なしでは読めなかった。『少年と犬』で直木賞を受賞した馳星周さんが記録した、悪性組織球症と診断された愛犬マージと過ごした最期の94日間。ノンフィクションだからこそ伝わる、人と犬が共に生きることの意味。一途に愛し、信頼して結ばれた絆の強さ。今朝できたことが、数時間後にはできなくなる。昨日は食べられなかったご飯、今日は食べられた。一進一退のマージの命。その瞬間まで、あなたの生きている理由でありたい。唯々マージの為に…そんな思いが伝わって、また涙。2020/08/24