内容説明
警視庁公安部の刑事だった奥野侑也は、殺人事件で妻を亡くし退職を決めた。孤独に暮らしていた侑也に、かつての上司を通じて潜入捜査の依頼が入る。北の果てに建うモウテルの管理人を務め、見知らぬ人物と暮らしながら疑似家族を演じろという。侑也が現地に赴くと、そこにいたのは若い男女と傷ついた1匹の番犬だった。やがて闇に隠れた謎の組織の存在と警察当局の狙いが明らかになり、侑也は眠っていた牙を再び甦らせる―。
著者等紹介
沢木冬吾[サワキトウゴ]
1970年、岩手県花巻市生まれ。99年、『愛こそすべて、と愚か者は言った』で、第3回新潮ミステリー倶楽部賞、高見浩特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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犬のいる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
144
スケールの大きなハードボイルドであり、絆と再生の物語である。著者の脳内では完璧な映像が映し出されているのであろうが、如何せんその映像が文字に落とし込めていない感。3人の疑似家族を監視する公安刑事と、謎の敵対組織との相克が煩雑で混乱する。主要人物の造形や思考、生い立ちや背景等は丁寧に描かれる一方、場面変転や状況変化の描写に唐突感がある。読了感は爽快で大筋では満足だが、細部に釈然としない箇所があり不満が燻る。ただ、主役級のドーベルマンや主人公と共に戦う人物達の絶体絶命の危機に際しては、生きてくれと強く願った。2020/01/30
Rin
134
絶望を知る者たちの再生物語。ページを捲る手が止まりませんでした。それぞれが心に闇を抱えた赤の他人に、人を信じることを止めてしまった一頭のドーベルマン。それぞれが試行錯誤しながら任務を遂行するために同じ家で暮らす。徐々に距離が近くなっていく様子や、くすっとさせてくれる場面もあり、一気にストーリーに吸い込まれてしまいました。主要メンバー以外にも魅力的な人物もいて、アクション場面は緊迫感も十分。マクナイトと会話をするシーンは胸が熱くなりました。今後彼らが穏やかな日々を送れることを祈りたいです。2014/11/12
山目
130
暖かなハードボイルドでした。始めと終わりのアクションと半ばの家族物語が、微妙にマッチして、何となくほんわかした感じがいいです。設定が少し凝り過ぎの気もするが、気の良い登場人物が多いのも好感が持てます。もちろん、マクナイトには脱帽です。どんちゃん、タイガー、ダイナマイトも可愛いし、映画の薀蓄も楽しめました。2015/01/22
ハサウェイ
108
おもしろい。見ず知らずの男女3人と犬1匹。あと鳥1羽も。お互い訳も分からずに共同生活に。いろんな組織の思惑の狭間で家族になりつつ。ハードボイルド作品でもあり、ホームドラマでもあり、新しいジャンルに思えた。2015/02/09
Makoto Nakagawa
104
面白い!上手い!それぞれの再生の物語から騙し合いにページを捲る手が止まらない。マクナイトが男前!満腹です。2018/03/01