内容説明
NYの“ホテル・チャンセラー”22階で、火掻き棒で頭蓋骨を粉砕された男の死体が見つかった。部屋の持ち主は、出版社を経営し、切手収集家としても名が知られているドナルド・カーク。外出先から、友人のクイーンを伴い、晩餐会に出席するため、事務室に寄った時の出来事だった。殺された男の正体は誰もわからない。ただ、死人の衣服が前後逆に着せられており、部屋の中も何もかも逆向きだった…。大人気“国名シリーズ”第8弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
119
被害者が身元不明…、ということで秘密だらけの見通しの悪いストーリーが進みました。 被害者の正体はともかく衣服を前後ろ反対に着てしまうことは大人になった今でもよくやってしまうミスです。まさかミステリーのトリックに使われてしまうとは…。 日本庭園でもそうなのですが、アメリカではオリエント世界ってそんなに胡散臭いイメージでとらえられるでしょうか?描写からして中国よりも日本のほうがより胡散臭いイメージみたいですが…。日本庭園も読み返してみたくなりました。2019/02/03
やきいも
86
作者クイーンがお気に入りの国名シリーズ作品。発見された死体は衣服が上下逆で、部屋の中も何もかもが逆向きになっていた。なぜ殺人犯はそんな事をしたのか...。好き嫌いが別れる作品のようですが以下の理由で私は好きでした。1.「あべこべの死体」の謎という発想が斬新。2.少し変わった形で「密室」が登場するのも新鮮。この密室トリックは「わかりにくい」とやや評判が悪いです(笑) しかし、何と角川文庫版は巻末でこのトリックの解説をイラスト付きでのせてます!少し変わったタイプのミステリーを読みたい方に個人的におすすめです。2015/10/14
W-G
84
中1の時の初クイーンがコレ。5回目の再読になる。地味に人生で一番多く読んでる本。最初はトリックがどうしても理解出来ず苦しんだので、解説で図解をつけた事にただただナイス。傑作というつもりもなく、今読んでも苦しい部分が多いが、どこか気になるこの作品。そう、冒頭で提示される謎が圧倒的に魅力的なのだと再認識。私の記憶が消えて「クイーンの作品から、あらすじを見て好きな一冊を選びなさい」と言われたら、きっと何度でもこの作品を選ぶだろう。チャイナ蜜柑の始まりで占星術殺人事件の着地。そんなのが私の本格ミステリ理想系。2016/06/01
NAO
67
クイーンの国名シリーズ。殺された男が待合室でタンジェリン(チャイナ蜜柑)を食べたことや被害者が訪ねてきたドナルドが中国切手の収集家であることから、エラリーは、事件と中国の関係性を疑うようになる。「何もかもが逆」というのが中国っぽいというのだ。「何もかもが逆」というのが中国っぽいとはちょっとこじつけすぎる気もするのだが。作者は、中国の切手にまつわるミステリというだけでは派手さが足りないと思ったのだろうか。2021/12/28
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
65
作者のお気に入り作品らしいです。家具、服、全てが逆さにされた部屋で男の死体が発見。それも服に槍が二本さされており、男が何者かが分からない。派手な謎は好み。特殊な殺人現場が目を引きますが、登場人物の「濃さ」が目立つ気も。老害寸前というか老害のお方、悪女等、個人的においしいです。そして悪女と対峙するエラリー。国名シリーズは途中から設定変更が行われていることは有名ですが、このシーンはもはや別人。元々かっこいい方ですが、これはやばい(笑)解説には図が付いており、トリックを本文で理解できなくても安心。流石新訳。2015/12/20