内容説明
5月某日。本郷の古い旅館、月明かりさえ届かぬ地下室。女性作家10名が集い、夜を徹して怪談を語り合う。風が通るはずのない密室で、ろうそくの火が揺れる。誰もいない廊下から、誰かが覗く気配がする。まるで誘蛾灯に虫が吸い寄せられるように、怪談に誘われて集うあやしの気配。心底恐ろしい百物語怪談会99話を完全再現。
目次
百物語をすると…・一(加門/七海)
恐山(長島/槇子)
雨の日に触ってはいけない(三輪/チサ)
怪談鍋(立原/透耶)
幽霊管理人(伊藤/三巳華)
只今満員です(神狛/しず)
ある女芸人の元マネージャーの話・その一(岩井/志麻子)
心霊スポットにて(宍戸/レイ)
トイレに現れたお祖母ちゃん(勝山/海百合)
廃病院(宇佐美/まこと)〔ほか〕
著者等紹介
東雅夫[ヒガシマサオ]
1958年神奈川県生まれ。アンソロジスト、文芸評論家。元「幻想文学」編集長で、現在は怪談専門誌「幽」の編集長。『遠野物語と怪談の時代』(角川選書)で第64回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あっか
51
期待通り、とても面白かった!女流作家さん方々を中心に女性ばかりが10人集い行った怪談百物語を書籍化したもの。基本実話ベースなので、正体も意味も分からない、種明かしもオチもない、長さも短かったり長かったりするけれど、それが本物の怪談だよな、という感じがするリアルなお話ばかりでした。岩井志麻子さんの話は、本人のキャラ同様なぜかやっぱり存在感があるな〜!99話終えて、特に何もなかったんだろうか?わたしは、もうすぐ読み終わると思うとドキドキしてしまった…黒塗りの見開きがまた怖い…2023/03/29
p.ntsk
39
10人の女流怪談作家による99の実話怪談。実際に集り作法に則って百物語怪談会をされたそうです。実話怪談は起承転結や明確なオチがなかったりする曖昧さがかえって不気味で怖いです。ひとつひとつは大したことなくても数が集まると独特の磁場ができる気がします。蒸し暑い夏の夜でも読めば気持ちの悪い寒気を味わえそうです(笑)。視える人は大変だなと思いつつ視えないだけで実はこういう世界が展開しているのかなと思うとゾッとします。 2016/08/14
じゅんぢ
19
年を重ねるほどに怖がりになっていっている気がする。こういう本は夜中に読んで雰囲気を楽しむのに、それもできなくなってしまった。そのため明るいなか読んでしまったせいかあまり印象に残る怖い話がなかった。2017/05/24
Yu。
16
この時期は怪談が落ち着きますね(怖がりなのに…) 女流作家10人による百物語怪談会。見届け人は、京極先生。会主は、東雅夫先生。と、豪華な顔ぶれ。これは映像で見たいなぁ。。さすがに99もの話だけあって、幽霊話に留まらず、不可思議な現象や人、虫と、テーマが様々。好きなのは “これぞ怪談” 長島槇子さんの「山小屋でのこと」。新聞ざたにもなった、宍戸レイさんの「コックリさん」。怪談話とは違うが、立原透耶さんの「赤い絨毯」は、とんでもなくイヤ!私が当事者だったら失禁してます(´Д`;)2014/07/24
書の旅人
13
自他共に認める“びびり屋”のくせに、このくらいの怪談集なら好んで読む。……が、以前、急ぐ運行でもなかったので、山越えの途中の休憩所で、いつもの様に缶コーヒーを片手に読み始めた。ところが陽は沈み始め、やばいなぁ…とは思うが、心とは裏腹に、車内灯を点け、カーテンをひき、止めることが出来ない。全て怖い話ではないけれど、時折最大級の後悔をしても、結局最後まで読んでしまった…。その後の再び出発するために、カーテンを開ける瞬間の怖かったこと…。御対面した映像を振り払いつつ、慌ててその場を走り去ったのであった。2016/09/04