出版社内容情報
ありふれた日常のゆらぎときらめき。それが、詩人・銀色夏生の目を通すと、こんなにも美しく見える……。一途に、健気に咲く花々の美しさが胸を打つ写真の数々と、新作の詩で紡ぐ、銀色的写真世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
95
きれいな花の写真に銀色さんの詩を添えた心安らぐ本。華麗な花というより楚々とした野の花が多い。原っぱにひっそりと咲いている花でも、はっとするような美しさがあることを教えてくれる。都会の片隅で咲いている花の写真もあって、そういったものにも、心を奪われた。どんな花でもあっても、美しく尊いのだ思わせてくれる。詩の中の「花は空からこぼれ落ちた光」という一節が、深く心に響く。手元にずっと置いて、心がささくれてきた時は何度でも眺めようと思った。2017/12/24
パフちゃん@かのん変更
60
銀色夏生さん撮影の植物の写真がたくさん。はなの写真集のようです。でも、花はおしゃれな花じゃなくて自然な感じの花です。合間に詩が少し。少ないけれど、素敵な詩です。銀色夏生さん、女性だったのですね。名前から男性だと思っていました。2016/02/27
ちはや@灯れ松明の火
49
世界という足もとがゆらいだ日、今日が崩れ落ちていく不安に押しつぶされそうで、地面を彩る花の色も目に映らなかった。それでも、緊張と安堵をくり返し、空からこぼれ落ちた光が花となり、ふたたび日々は静かに輝く。変わってしまった場所、また会いたいと望むべくもない願い、見ていない時も花はそこで輝いていた。同じには戻らなくても、何度ゆらいでも、そのたびに立ち上がる。変わらないものは何もないとやさしく笑うように、春の光をあつめて花は咲き、人は人と会う。ゆっくりと歩こう、ただ歩こう。世界という足もとは何度でも華やぐから。 2016/03/11
momogaga
40
「花は空からこぼれ落ちた光」銀色夏生さんの詩が、この世の花が輝く意味を教えてくれる。 2023/08/03
らん
20
"見ていない時も そこで輝いている 静かに輝く日々の花 静かに輝く日々という花" "世界という足もとは何度でも華やぐ 花々で 人で 生きているものたちで" お花を眺めながら散歩している気分に浸れる写真集に詩が添えられています。光と風を感じながら、緑と太陽の光が溶け合う眩しさに目を細める幸福。半分萎れそうな向日葵、ぽとりと地面に落ちた赤い椿たち、まだ輝きを失わず、美しく、生きている。その姿に強く惹かれる。心がゆらいだ時に、何かを感じたい時に、また。"すべてのものは そのものの 正しき強さを持っている"2023/04/30