内容説明
怪談実話の名手、福澤徹三が怪談専門誌『幽』連載で5年間にわたって蒐集した全100話。平凡な日常に潜む怪異を静謐な文章がリアルに描きだす。玄関のチャイムが鳴るたびに恐怖が訪れる「食卓」。深夜、寺の門前にいた仔犬の正体に戦慄する「仔犬」。市営住宅に漂う異臭が恐るべき結末に発展する「黒いひと」。1話また1話とページをめくるたびに背筋が寒くなる「読む百物語」。
著者等紹介
福澤徹三[フクザワテツゾウ]
1962年福岡県生まれ。デザイナー、コピーライター、専門学校講師を経て作家活動に入る。著書に第10回大藪春彦賞受賞作『すじぼり』(角川文庫)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キンモクセイ
56
「ひと晩で読めば、なにかが起こる。」と帯にあるのでふた晩かけて読みました。実話ってフィクションと違ってオチというものがはっきりしないからサラッと読めてしまう。「バックミラーの男」運転していてバックミラーに映った、それこそ事故りそう。「岬に立つ女」夜の峠に立つ女性って火サスや土曜ワイドぐらいしか知らん。「食卓」チャイムが鳴るけど誰もいないってありがち。私の場合、チャイムじゃなくてドアをノックされた。えっ?ふつうチャイムだよね?ハイ、もちろん誰もいませんでした。「テナントビルの老人」福の神だったら大歓迎だね。2020/08/23
HANA
51
実話怪談集。事実だけを記すスタイルだが、著者の筆にかかると実話怪談として最適なものに変化するのが不思議。実話怪談というと怖がらせようとゴテゴテと飾り付けたような文体を書く人もいるが、こちらはまるで標本を提示するが如く淡々と紹介している。そうして紹介されたものを読んでいるうちに、だんだんと背筋が寒くなってくる不思議。内容は幽霊話や不思議な話が渾然一体となっているが、それが聞き書きという怪談話は本来こういう風だったのではないかという気がしてくる、読みながら。やはりこの著者、自分のスタイルを確率しているなあ。2014/01/31
ゆみきーにゃ
49
《購入》すごく期待して読んだのでガッカリ感が。怖い!と思える話に出会えず。2015/02/27
あたびー
35
正統的な実話怪談集という感じです。蝉を捕まえたあと異世界に入り込んでしまったり、いつの間にかカバンに入っていた古い櫛のせいなのかいくら歩いても家につかなかったり、一夜の関係を持った女の家から出たら時間が戻ってしまっていたりとか、そのへんの話が面白かった。2022/03/17
じゅんぢ
35
この作者の怪談本は一定のクオリティがあって安心して読める。今回も怖がらせてもらいました。2018/10/01