出版社内容情報
エンジェル投資家の小池に新企業への出資を求めに来た、大学院生の田島。その謎めいた行動から、小池は田島が母校の大学に烈しい復讐心を持っていることを見抜く。実は小池も、同じ復讐心を胸に抱いていたのだ……。
内容説明
エンジェル投資家・小池規彦の前に、同じ大学の後輩にあたる田島祐也が現れた。立ち上げたばかりのベンチャー企業への出資を求めに来たという院生の田島は、熱意と才能に満ち溢れた若者のように見えた。しかし彼の謎めいた行動から、小池は田島が母校の大学に烈しい復讐心を持っていることを見抜く。そして実は小池自身も、同じ復讐心を胸に抱いていたのだった…。「実行者」と「支援者」、ふたりの天才が繰り広げる極限の推理劇!
著者等紹介
石持浅海[イシモチアサミ]
1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。97年、鮎川哲也編『本格推理11』に短篇「暗い箱の中で」を発表、2002年『アイルランドの薔薇』で長篇デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きっしぃ
46
大学への復讐心を持つ田島と、その復讐心を見抜き支援する小池。法人としての大学への復讐とは、そして人の心に隠された悪意を些細な行動からの推理に読みごたえがあった。根本的な動機と復讐のバランスがイマイチ取れてないなとは感じたけれど、最後まで予想外の展開が多くて面白かったです。2017/06/27
ジンベエ親分
39
久しぶりに毒がたっぷりの石持作品を読んだ。テーマが「復讐」だし社会一般の倫理観とは異なる価値観をもって行動原理としているのは多くの石持作品に共通しているのだが、本作はそれが振り切れている。碓氷優佳が殺人事件の犯人を推理して特定していながら知らんふりを決め込むのは「それも良いんじゃない?」と思えた自分も、本作には「こりゃ酷でぇ」と思った。でもそれは石持作品には褒め言葉(笑) 2人の碓氷優佳級に切れる男の腹のさぐり合い、挑発で展開する事態に興味津々。この飛躍した推理も、実際に接した相手ならあり得るのかもね。2018/01/24
じゅんぢ
34
復讐を誓うまでの細かいエピソードも読んでみたかった。里子の人物像があまり見えないからその辺りのエピソードも書いてほしかった。2020/01/17
left7
26
石持さんの論理的なキャラクター達がくせになっています。この論理の応酬が読みたくて石持さんの作品を読んでいると言っても過言ではありません。今作も他の作品に違わず読み応えがありました。これからも石持さんには論理の応酬をどんどん読ませて頂きたいです。2014/11/06
ほぼ一日一麺
23
なぜ人は、旅をするのだろう。自分を見つめ直すため?見たことのない風景に出会うため?世界の大きさを感じるため??石持氏の世界を読むと、私は旅をした気分になる。法人への復讐、どうすればそれは果たせられるのか。そんなこと突き詰めて考えた事すらなかったし。ちょっとした違和感を材料にそこから隠された結論へと導く論理のプロセスも見事だったし。この作者が見せてくれる景色はいつも独特で唯一無二で、いやもうクセになるねぇ( ̄∀ ̄*)ウマー。2015/09/06