出版社内容情報
大学受験の当日、木村が目覚めると試験開始の20分前。どう考えても間に合わないと悟った木村は、大学に「爆弾予告」電話をかける。まんまと試験開始時刻を遅らせることに成功したが…。他7編収録。
内容説明
2度の受験に失敗し、浪人生活を送る木村昌彦。3年目の大学入試の朝、目覚めた彼の目に飛び込んできたのは、8時40分を指す時計の針だった。自宅から会場までどんなに急いでも、9時開始の試験に絶対に間に合わない。あせった木村は「爆破予告」電話を入試会場にかける。思惑通り開始時刻は遅れ、念願の大学入学を果たすが、その行動に気付いている者がいて…。「受験地獄」ほか、幻の未文庫化作品を含めた7編を収録。
著者等紹介
西村京太郎[ニシムラキョウタロウ]
1930年東京生まれ。65年『天使の傷痕』で江戸川乱歩賞受賞。81年『終着駅殺人事件』で日本推理作家協会賞受賞。2004年には第8回日本ミステリー文学大賞を受賞。トラベル・ミステリーで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
102
短編8話。受験地獄、海の沈黙、神話の殺人、見事な被害者、高級官僚を死に追いやった手、秘密を売る男、残酷な季節、友よ松江で。「高級官僚を死に追いやった手」だけ初出。受験物は「受験地獄」。基本殺人もの。2014/11/12
セウテス
77
表紙が何とも味があるなぁと思っていたが、中味はかなりスパイスの効いた短編が8つ。唯一「友よ 松江で」は十津川警部が登場し、刑事と一緒に推理の一端を感じる事は出来る。しかし基本的にミステリ風ではあるものの、謎解きは求められていない。「受験地獄」は、かなり苦い後味だがしっかりとしたオチが楽しめる。西村先生のトラベルミステリや、本格向きの作品とは趣が全く違う。社会性と言えなくもないと思うが、その問題自体より皮肉と言うか説明が難しい。でも、あっさり読めるし推理する必要も無しだが、こういうのも私的には嫌いではない。2021/09/20
いしかわ
43
どのお話も後味が悪くて、個人的に このような雰囲気の小説は好き。受験地獄が一番面白く感じた。西村京太郎の文体から古さは感じたけれど読みにくさは無い。話のどれもが、読者の想像に任せるような終わり方で、嫌いな人と好きな人で分かれそう。2014/07/26
coco夏ko10角
25
8つの作品収録の短編集。『受験地獄』二浪してる昌彦、T大入試当日に寝坊してしまい大学に爆破予告の電話をかけるが…。これが一番面白かったかな。『友よ、松江で』十津川警部がちらと。2020/04/22
ロッシーニ@めざせ正社員
23
実は、初・西村京太郎です。鉄道ミステリーのイメージしかなかったけど、作風の幅広さに驚きました。「受験地獄」(ドラマと結末が違っててびっくり)と「見事な被害者」("恋人"とはこういう意味だったのか!)の話が特に好きですね。2014/07/18