出版社内容情報
オランダ記念病院に救急搬送された一人の患者。だが、手術台に横たえられた彼女は既に何者かによって絞殺されていた。犯行が可能だったのは手術前のたった数十分だけ――。名探偵エラリーの超絶技巧の推理、第3弾!
内容説明
オランダ記念病院の見学席から手術を見守るエラリーの前に運ばれてきた患者。だが、シーツをめくると彼女は絞殺されていた。被害者は病院の創設者である大富豪。目撃証言から、犯行が可能だったのは執刀医だけに思われたが、彼は何者かが自分に変装したと主張する。その言葉通り、犯行に使われたと思われる一足の靴が見つかるが、様様な不審点があり…。エラリーの論理と分析が冴えわたる「国名シリーズ」第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
109
古典の名作を読了。発表当時に読んでみたかったですね。フーダニットといえば必ずや名前の挙がる名作ですが、読んで納得のクォリテイでした。有栖川さんや法月さんや青崎さんの根っこの部分に触れたようで感慨深いです。2016/03/01
やきいも
95
エラリー・クイーンの国名シリーズミステリー第4作目。病院の中で起きる2つの殺人に挑むエラリー。国名シリーズの中で人気のある『エジプト十字架~』や『ギリシャ棺~』に比べたらやや地味というか、しぶめの作品です。全ての手がかりが提示された後、作者からの「読者への挑戦状」がでてきます。奇をてらった作品ではないので素直に考えていけば、犯人を自分で見つけるのも不可能ではないと思います。自分で謎を解いて犯人を探すのにチャレンジしたい方におすすめします。2015/10/29
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
70
クイーン国名三作目。一応一作目のローマ帽子以前の話のようです。病院内での殺人という当時としてはなかなか画期的そうな設定。一足の靴、いえいえ切れた靴紐により展開されていくエラリー節が良いですなぁ。エジプトなどは展開も華やかで、なんというか激しい印象がありますが、こちらは落ち着いた印象で別の良さを感じます。今回はいつも以上にフェアプレーで、最後に解答が示されたときにいつも以上ににやけてしまいます。ライトで若々しい新訳エラリーにもようやく慣れてきたところで、名作ギリシャへ^^2015/12/08
aoringo
62
「森博嗣のルーツ・ミステリィ100」からの一冊で先生いわく国名シリーズで一番クイーンらしい作品とのこと。文章に無駄がなくフェアプレイなので分かる人には分かるんだろうなあ。自分は最後まで全然分かりませんでしたが。エラリーの鮮やかな推理が光っていて気持ちよく読了。2018/03/16
オーウェン
57
国名シリーズ第3弾はオランダ。 舞台は病院であり、手術前の患者が死亡しているのを発見。 手術に関わる執刀医が疑われる状況に。 過去2作と違って複数の人物が殺される展開。 エラリーも1人だけでは犯人の判別に悩むが、2人目が殺されたことによって推理の予測が。 見てる読者も証拠であるオランダ靴から、犯人の推測が可能という点。 だから挑戦状で犯人を当てることができるのだが、それでも非常に難しい。 父親を差し置いて、エラリーの推理が際立っているのも特徴で、後の作品にも影響が出てくる。2024/06/08