角川文庫<br> 群青の夜の羽毛布

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角川文庫
群青の夜の羽毛布

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784041006962
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報



山本 文緒[ヤマモト フミオ]
著・文・その他

内容説明

24歳になっても、さとるの門限は夜10時だ。学校教師の母には逆らえない。スーパーで知り合った大学生・鉄男と付き合い始めても、さとるは母を怖れていた。屈託の無い笑顔、女性に不自由したことのない鉄男は、少し神経質なさとるに夢中だった。だが、さとるは次第に追いつめられていく。家族が恋を、踏みつける―。このまま一生、私はこの家で母と暮らすのだろうか。さとるの家で鉄男が見たものは―。息詰まる母子関係を描く。

著者等紹介

山本文緒[ヤマモトフミオ]
1962年神奈川県生まれ。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第124回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

もぐたん

101
共感できてしまった。ひどいと思っていた母親にも、狂った父親にも、共依存の娘にも。結局、家から逃れられないのは、誰のせいでもない。簡単なことでもない。母親の言い分も一理あるし、父親のやるせなさもよくわかる。毒親は確かに良くない。でも全て育て方のせいにするのも違う。この人達は、とても真面目なんだと思う。逃げ出せたら、どんなにか楽だろうに、家族を捨てられない。読み進むにつれ「家族」という言葉の呪縛に絡め取られるような息苦しさと、序盤の違和感が一皮一皮むかれていく気持ちよさを味わえる一冊。★★★★☆2021/08/30

優希

74
母娘ものですが恐ろしいです。完全に歪んでいますね。厳格で体罰をも繰り返す母、逆らえないさとる、反発しつつ離れないみつる。正直この家族は病んでいるとしか言えませんでした。さとるに惹かれる鉄男も巻き込みながら、母の絶対的支配を感じます。決して安心できる家族ではないけれど、皆が帰る家族なんでしょうね。鉄男もやっぱり母に縛られていて。大切な人同士でなければならないのに噛み合ない辛さが刺さります。母親は酷い人間だけれど、最後にさとるが希望を見せてくれて良かったです。2015/01/07

taiko

56
家事手伝いをする24歳のさとるの門限は10時、それを頑なに守っている。さとると付き合うようになったスーパーのアルバイト店員大学生の鉄男から見たさとるの家庭は、普通ではないように思えた。…多少の家族の秘密はどこにでもありそうですが、さとるの家庭の問題はとても深く重い。さとるはその被害者なのかも。さとるの陰湿な雰囲気も、家庭環境にありと思います。鉄男が救いになるのでしょうか。物語の後の展開を想像しても、一筋縄では行かなそうな気がします。みんなが今より少しでも幸せになれたらいいなと願ってやみません。2019/12/13

olive

46
本書の初版は25年ほど前の1995年。今ほど認知されていなかったであろう、共依存とか、アダルトチルドレンとか、毒親とか、パニック障害とか、対人恐怖症とかが・・・なんとなんと!!それらがすべてが詰まった一冊でした。プロットが巧みすぎるーーー!!ミステリーでもないのに、騙された!&大どんでん返しのような驚きと、家族とはなんぞや?一人の人間と認めるとはなんぞや?心理的な描写も深くて面白かったです。でも一番は、オカン!何やってんのよーーー!!と誰かと語りたいです(;^ω^)2021/05/04

Mirco

41
鉄男、その家に関わったらだめだぁと何度思ったことか。放って置けないといえば聞こえはいいけど、彼の生育歴も関係してそっちの方に行ってしまうのでしょう。母親はもちろん悪いんだけど、母親だけが悪いんじゃなくてその親とさらにその親…も悪いんです。されたようにしかできないし、いつのまにか同じことをしてしまうものなんでしょうね。 2021/12/16

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