出版社内容情報
ヴィクトル・ユゴー[ヴィクトルユゴー]
著・文・その他
永山 篤一[ナガヤマ トクイチ]
翻訳
内容説明
あわただしい時代のなかで、貧しくても上昇志向でがんばっていた青年マリウスは、ある美少女に恋をした。謎の男性といつも一緒のコゼットだ。彼女への思いをつのらせる彼だったが、革命騒ぎのまっただなかに巻き込まれ、絶対絶命となる。そのとき、コゼットと一緒にいた男、ジャン・ヴァルジャンと再会した!ジャヴェール警部、凶悪犯テナルディエなどもまじえながら、壮大な物語は感動のクライマックスへと向かう―。
著者等紹介
ユゴー,ヴィクトル[ユゴー,ヴィクトル][Hugo,Victor]
1802年生まれ。作家・戯曲家・詩人・政治家。1820年代に国王ルイ18世に認められるなど、詩人として高く評価される。すぐに戯曲や小説も発表するようになるが、政治色が強く物議の的となる。しかし1862年にフランス文学の頂点『レ・ミゼラブル』を発表したことで不動の名声を獲得。政界にも進出したが、複雑な状況により亡命生活を経験している。1885年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
151
終わった。壮大な神話だった。ジャンはデミゴッドなのか、その心身の逞しさはおよそ人間とはかけ離れている。パン一切れ盗んだ罪から自分を責め続けている。本書はフランス語原著をジャンとコゼットのエピソードを抽出した英語抄訳を日本語化したもの。原著はジャン以外のいわゆるモブをより掘り下げたものらしい。おそらくジャンは神の現身であり、省略された悩める市井の人々が本当の主人公だったのだろう。原訳は読んだこと無いのだがどこか違和感があり、サリエリを省いてしまったアマデウスのような読後感。 2022/12/14
ひらちゃん
71
名作は色あせないものだ。今読んでも夢中になり、めくる手は止まらない。時代、冒険、恋愛、宗教ありとあらゆるものが詰まった壮大なドラマだった。登場人物一人一人にかける作者の思いも熱くってジャンバルジャンだけの人生にとどまらず。ジャヴェール警部の心の動きもハラハラしながら‥‥。テナルディエだけは最後まで変わらず悪党だったけど。コゼット、マリウス早く早くと急く気持ちが絶頂。いい所で終わるなあ。ああ、読んでよかった。興奮気味にレビューを書いてしまって、お恥ずかしい限りです。とにかく良かったです。2018/02/19
たきすけ
71
誠に感傷的な感想になるのですが、最期のジャン・ヴァルジャンの姿には涙が出そうになってしまいましたT_T 特にマリウスが完全に誤解してしまい、コレットがだんだんと離れていく展開にはジャヴェールの最期も衝撃的であった為、ハラハラしながら読み進める形になり、ジャン・ヴァルジャンが二つの答えの前で葛藤する姿では僭越ながら自身の経験と重ねてしまい、彼の辛い選択に心を痛めていました。自分もジャン・ヴァルジャンのように愛と幸せを人に贈る事が出来る強い心を持てるように普段より己を見失わないように生きていきたいです。2016/01/27
Book & Travel
51
さすがに名作だけあって圧倒される内容だった。コゼットとマリウスの大恋愛、六月暴動と劇的に物語が進み、登場人物の運命が交錯する。そんな中、ジャン・ヴァルジャンが葛藤の末に取る行動は最初は不可解なのだが、その意味が明らかになるに従って、物語にどんどん引き込まれていく。そして真相が明かされる最期には、王道的・古典的ではあるが(古典だが)、カタルシスと深い感動が。ジャベールの心境の変化、悪党ながら運命の鍵を握るテナルディエら脇役も印象深い。完全版は自信がないので、抄訳版でこの壮大な物語を最後まで味わえて良かった。2018/10/30
綾@新潮部
48
やっと読み終えた。これで原文の半分以下しかないとは、完全版はどれだけ長いのだろう。読める気がしない。にもかかわらず、完全版も読んでみたいと思ってきた。ジャン・ヴァルジャンやその周りの人達の部分はするすると読めるが、暴動やら世界史的な部分は難しく、この本を読む前に世界史を勉強しておけば良かったかなと思った。他人になりすますとか変装するとか、この時代ならではの感じは面白かった。いや、バレるやろ……と密かに思いつつ。2021/05/12