出版社内容情報
恋に戦う君を、誰が笑うことができようか?
私たちは足が炎上している男の噂話ばかりしていた。ある日、銭湯にその男が現れて…。何かにとらわれ動けなくなってしまった私たちに訪れる、小さいけれど大きな変化。奔放な想像力がつむぎだす不穏で愛らしい物語。
内容説明
散歩中に拾った、自分と同じ機種の携帯電話。その携帯に届いたメールに何の気なしに返信した私は、返ってきた温かいメールに励まされ、やがて毎日やりとりを始める―(「空を待つ」)。我々は足が炎上している男の噂話ばかりしていた。ある日、銭湯にその男が現れて―(「炎上する君」)。何かにとらわれ動けなくなってしまった私たちに訪れる、小さいけれど大きな変化。奔放な想像力がつむぎだす愛らしい物語。
著者等紹介
西加奈子[ニシカナコ]
1977年テヘラン生まれ、大阪育ち。関西大学法学部卒業後、2004年『あおい』でデビュー。08年『通天閣』で織田作之助賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
673
8つの短篇を収録。いずれも、ちょっとシュールな趣きの作品。今時、こんなシュールも珍しい。そしてまた、それらの作品のいずれもに作者自身の一部が投影されている。おかしいのは、作家としての偽自伝を語る「甘い果実」。山崎ナオコーラ氏の性別非公表をいいことに、もう好き放題の扱い。もちろん、実名(ペンネームではあるけれど)で。きっと、仲良しなんだろうと思う。どの作品も軽いのだけれど、西加奈子さんの、これまでとは別の側面が垣間見られて、楽しい小説群だ。作家としての幅の広さが感じられるし、今後への期待も高まるのである。2018/11/01
ミカママ
260
あまりにも観念的というか、寓話的というか。ロロロロと転がるマンゴーだとか、たすんたすんと叩くドアだとか...の表現を「特異な感性」と呼ぶには、私は歳をとりすぎているのかな。2016/12/05
ナイスネイチャ
193
相変わらずの西ワールド。特に山崎ナオコーラさんと実在する人に嫉妬する話は笑えました。表題作も独特。どんな発想したら書けるのか?まっすぐな力でぐいぐい世界に引き込み精気抜かれるような読後感でした。2017/06/10
ちぃ~
181
ε-(´▽`) ホッとする一冊。西加奈子さんの短編が八篇。なんか間違ってるって指摘されるわけじゃない、駄目だと言われるわけじゃない、かと言って、全てを受け入れてもくれない。だから、ゆっくり自分でまた、先へ進める勇気をくれる。人の存在を語る作品群。フンワリ感とともにサラッとした読み心地が、そして、後腐れなさもいい。この発想が西さんの強み!(*^-゚)vィェィ♪。益々、西さんを読みたくなる。2015/07/04
Nobu A
172
西加奈子著書初読。10年刊行。8編の短編集。時折耳朶に触れる少壮気鋭の作家の一人。以前から本作家の作品に触れてみたかった。ある意味、大御所の村上春樹を彷彿。現実と非現実の間を彷徨し、一種の寓話性を帯びた物語構成。西加奈子の方が断然好み。まず語彙の選択が軽妙洒脱と言うか、且つ荘重で夢か現かの構図の中で現実性を高める。読者を驚かせつつ、想像を掻き立てるような余韻を残す結末。最後は好き嫌いが別れそうだが、終盤迄の展開は比較的堅実。構成を練りに練ったのが窺える。個人的には「空を待つ」と「私のお尻」がお気に入り。2025/10/30
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